junk time

ダブル・ヘッダーのこの日は、自分のイベント終了後、すぐに『ジャンク・フジヤマ sings Greatest Songs Encour & More』@目黒Blues Alley Japan へ移動。これはチケット即完となった11月の“Sings Greatest Songs”@神楽坂GLEEのアンコール公演で、クリスマス・プレミアム・ライヴとしての開催。ジャンクが愛してやまないアーティストの名曲を、村上“ポンタ”秀一 (ds) と岡沢章 (b) という最強リズム隊をバックに歌いまくる、そういうスペシャルなライヴだ。

ジャンクがリスペクトするアーティストといえば、もうこの人しかいない。そう、ご存知、山下達郎である。ジャンクに対しては未だに達郎ファンの間で賛否が分かれており、当人もその辺りを意識。それゆえ直接タツローの名前は出さず、前半のMCでは “あの方” と表現していた。が、途中から開き直ってストレートに表現。「だって、オレはタツローさんの歌を聴いて、音楽を知って、プロのミュージシャンを目指すようになったんです。似てしまうのは当たり前でしょ?」という旨を発言。そうそう、その潔さこそジャンクらしい。ポンタさんや岡沢さんなど、タツローゆかりの面々がジャンクのバックを務めるのも、ある種お墨付きを与えるようなモノだし。

そしてそのメニューもズバリ、タツローさんの初期ライヴ名盤『IT'S A POPPIN' TIME』に肖ったもの。そこでリズム・セクションを成したのが、他ならぬポンタ/岡沢コンビだった。この日の他の顔ぶれは、松田肇(g)、本間将人(sax,kyd)、神谷樹(g,cho)、太田卓真(kyd)、Chi-Hiro(cho)という中堅/若手の布陣。

セットリストは以下に記す通りだけれど、やはりタツローの初期レパートリーの充実感がジャンクを通して舞い降りてくる。タツローさんも昔のレパートリーを大切にしている人だけれど、ココまで徹底したプレイリストは『RCA/AIR Years』のツアー以来組んでいないから、とても価値のあるパフォーマンスだったと思う。特に<Candy>やジャンク自身の思い入れが籠った<Mondy Blue>のヴォーカルは圧巻。逆に<Ride On Time>や<Bomber>のような有名曲は、比較的軽めに歌い飛ばしていた。<Bomber>は歌い出しで躓いたが、それはギターのエフェクターがトラブってモニターから轟音が出たため、自分の音が取れなくなってしまったとか。このトラブルに納得できず、アンコールでもう一度歌い直すあたり、間違いなく達郎イズムを伝承している。個人的には、<Paper Doll>と<素敵な午後は>の連発に、思わず涙したりして…

対して2nd setは、お馴染みのジャンク・オリジナル。終盤でカナザワもご縁のあるISEKI(ex-キマグレン)が飛び入りし、まだ出たばかりの彼のソロ・アルバムでジャンクと共演した<バブル・サマー>を披露した。ジャンク以上に盛り上げ上手なISEKIの登場でオーディエンスは更にヒートアップし、怒涛の終盤へなだれ込んで行った。

たまたま最近、カナザワの周囲でもパクリ論争が再燃していて。以前にも書いたけど、自分の考えは、愛あるパクリやリスペクトを示した引用ならOK、というのがベースにある。ジャンク批判をするタツロー・ファンだって、達郎さんがアイズレー・ブラザーズやカーティス・メイフィールドあたりから多くの引用があったことを忘れちゃいないだろう。許容範囲は人それぞれだけど、どんなミュージシャンだって楽器を手にした頃はは憧れやモノマネからスタートする。オリジナリティを求めてマスターベーションに終わってしまうなら、若干引用が目立ってもクオリティの高い方がイイ、というのも、ひとつの価値基準。それがコピーやカヴァーではなく、あくまで自己表現であろうとするなら、自ずと自分のフィルターが効いていくはずなのだ。

 【1st set】
1. Circus Town
2. Solid Slider
3. Paper Doll
4. 素敵な午後は
5. 時よ
6. ピンク・シャドウ
7. Candy
8. Monday Blue
9. Ride On Time
10. Bomber

 【2nd set】
1. 僕だけのSUNSHINE
2. 束縛
3. 産業道路
4. Morning Kiss
5. バブル・サマー(with ISEKI)
6. 秘密
7. あの空の向こう側へ

 【Encour】
1. Love Space
2. Bomber
3. はじまりはクリスマス