blow monkeys

我が監修の【Light Mellow Searches】from P-VINE、12月20日発売は、何とブロウ・モンキーズ最新作『THE WILD RIVER』。意外に思う方が多いかもしれないけれど、今年の当シリーズではワークシャイの新作も出しているから、そう不思議なコトではないだろう。ホール&オーツあたりのブルー・アイド・ソウルをコンテンポラリーに展開した、と考えれば、多分納得できるはずである。A&R氏サイドから提案され、実際に音を聴いて、素直に “こりゃ再結成後の最高傑作じゃん” と思ったのが、当シリーズからのリリースを決めた最大の理由だった。

ブロウ・モンキーズといえば、大ヒット<Digging Your Scene>(全英12位・全米14位)などで知られる洒脱なブルー・アイド・ソウル・グループ。実質は美形ドクター・ロバートのワンマン・バンドといって良く、極めて高い女性人気を誇っていた。だがロバート自身がそれに疲弊したのか、90年に突如解散。最初は活動停止を仄めかしていた彼も一転ソロ活動を始め、スタイル・カウンシルのギタリストとして日本公演に同行したコトもあった。ブロウ・モンキーズ再結成は07年。解散時のメンバーが全員戻って、意外にも結束の強いグループであることを窺わせた。

ただ当時は音楽性より、クールな美形男子だったロバートが巨大化し、ヨレヨレになってしまったのが最大の話題だったりして…。既にコレが解散後のオリジナル5作目になるが、これまでにはやや地味に終わった作品もあった。でもこの新作は、全盛期のパブリック・イメージに近い音を再構築。メール取材したロバート自身も、「僕もそう思う。このアルバムにはブロウ・モンキーズのエッセンスというべきムードやサウンドがある」と語る自信作となっている。ヒット曲<Digging Your Scene>や<It Doesn’t Have To Be This Way>を髣髴させるリード・トラック<Crying For The Moon>や<What In The World>は、まさにそうした絶品ブルー・アイド・ソウル。グルーヴの重心の低さ、コクの深さは、そのままバンドの年輪、重ねたキャリアとダイレクトに繋がる。

当然ながら、かつてサッチャー元英国首相をヤリ玉に挙げた辛辣なメッセージ性も甦った。『THE WILD RIVER』というタイトルも、“単一民族国家”や“人種”にこだわることのバカバカしさを歌っている。「人は“他人”との線引きを設けると思いやりを失う。中でも<Landslide Comin>は、ブレグジット(英国のEU離脱)の狂気について歌った曲だよ」

注目すべきゲストにミック・タルボット(kyd)。そう、ポール・ウェラーのスタイル・カウンシル時代の相方だ。そしてドラムは病欠のメンバーに代わって、元ガリアーノのクリスピン・テイラーが代役を務めている。彼はワークシャイの諸作でもドラムを叩いている実力者だ。

かくして本領発揮の『THE WIDE RIVER』。ブロウ・モンキーズは、今まさに第2の黄金期を迎えつつある。この新策を引っ提げての来日にも期待を寄せたいところだ。