lukather_transition

スティーヴ・ルカサー率いるプロジェクト、Nerve Bundleが初来日。その東京公演2日目1st Stage を観た。ルークのソロということで、リンゴ・スターのオールスター・バンドは元より、TOTOに比べても更に激しくギターを弾き倒すんだろう、とすぐに想像できるが、その一方でココ10年くらいに出した3枚のソロ・アルバム『EVER CHANGING TIME』『ALL'S WELL THAT ENDS WELL』 『TRANSITION』 は、ギターとヴォーカルをバランス良く聴かせた音楽的アルバムとして成立していたから、公演発表当初はその路線での来日かと思っていた。

ところがこのプロジェクトは、ルークのギターを聴かせるためのバンドで…。結成自体は 7年前で、当時は別の名前で活動。5年前からこの名を掲げていたらしい。聞き慣れない英語だが、実は“神経の結束”という意味の医療用語で、卑猥なスラングでもある。面白いのは、結成してから毎年12月限定で地元中心にライヴをやっていたこと。そう聞くと、何だかルークの1年間のウップンを吐き出すためのプロジェクト、なんて受け止め方をしてしまいたくなる。特に最近はTOTOだけでなく、リンゴのバンドも加わって自己制御を強いられる場面が増えてそうだから、思う存分弾きまくりたいのだろう。まぁ “普段からウルサイくらいに弾いてるぢゃん…” というツッコミもあるだろうが 

いずれにせよ、このプロジェクトの中身は、ほぼルークの大マスターベーション大会。故にルークのプレイにノックアウトされたいギター・キッズたちは、きっと大興奮したに違いない。歌や楽曲を聴くのではなく、演奏を楽しむバンド。つまり、ルークに何を期待するかによって、面白くもなり、ツマラなくもなる。良い悪いの次元ではなく、ハナからそういうタイプのパフォーマンスなのだ。

メンバーはルーク周辺ではお馴染みであろうジェフ・バブコ(kyd)とトス・パノス(ds)。ベースはガヴァメント・ミュールのヨーゲン・カールソン。曰く「ジャズ、ロック、フュージョン、ブルースのいいとこも悪いとこも全部合わせたような、言葉じゃ説明できない折衷的な、いろんな音楽が渾然一体となったクレイジーなフュージョン・バンド」だそうである。来日前には地元で、かのベイクド・ポテトに出演。充分ウォーム・アップしての日本入りだったようだ。

セットリストは日替わりらしく、この日はいきなり『SANTA MENTAL』から、ジミ・ヘンドリックス風の<The Christmas Song>でスタート。でも途中で性急なオルタナ・パンクみたいなアレンジへ発展し、タダでは終わらない。そのあともジェフ・ポーカロに捧げた<Song For Jeff>、ルークのヒーローであるジェフ・ベック<Brush With The Blues>などを轟音で畳み掛ける。ジェフ・バブコとトス・パノスがバイ・プレイヤー的なのに対し、ベースのヨーゲンは、このプロジェクトのもう一人の飛び道具で、音を思い切り歪ませ、アグレッシヴなソロを取る。観る前はルークとの組み合わせにチョッと「?」もあり、“マイケル・ランドウがむかし組んでいたバーニング・ウォーターみたいになるのかな?” と思ったりしていたが、なるほど、人気ジャム・バンドでプレイしているだけあって壮絶なプレイだった。そういえば、音数を極力減らして頭脳的な空間プレイを展開する現在のランドウとルーク、まるで行き方が違っちゃいましたね ジェフ・バブコと対話するように奏でられた<Silent Night>が、唯一、この時期にふさわしい雰囲気を感じさせた。

結局、ルークがマイク向かって歌ったのは、以前から時々プレイしていたロビン・トロワー<Bridge Of Sighs>のみ。トスが<Africa>のイントロを叩き出すのを「No!」と笑って遮ぎるあたりに、ルークの本音が垣間見える。とはいえ本編終盤では、『KING OF DESIRE』から、ファンお待ちかねのインスト曲<Jake To The Bone>を披露。アンコールでは、ロバート・ポップウェル追悼の意もあったのか、『BAKED POTATO SUPER LIVE!』から、ハード&スピーディーにリ・アレンジされた<Bomp Me>が飛び出した。これは期待してなかった分、ちょっと興奮。この終盤だけでも、来た甲斐はあったかな。

来年は、TOTO40周年のツアーが控えているルーク。このバンドで思い切りストレス発散してもらって、次回はシュッと引き締まった彼と再会したいものである。