gregg rolie

引き続き越年直前の書き残し紹介で、ラインアップも同じ【AOR CITY 2017】後期発売分から、グレッグ・ローリーのソロ1作目。発表は85年。実は2nd『GRINGO』と2枚同時リイシューを目論んでいたが、何故かアチラはアプルーヴァルが下りず、1枚だけの見切り発進となった。

グレッグ・ローリーは、ご存知サンタナのオリジナル・メンバー。オルガンを鳴らしながら、かの<Black Magic Woman>をダミ声で歌っていたのが、この人である。その後カルロス・サンタナと大喧嘩してバンドを離れ、ニール・ショーンと共にジャーニーを結成。スティーヴ・ペリー参加前の初期3枚で歌っていたのもグレッグだ。ジャーニーには80年まで在籍。作品的には、81年発表の2枚組ライヴ『CAPTURED(ライヴ・エナジー)』が最後になる。どうやら過酷なツアーから離れたかったようで、しばらく表舞台には出てこなかった。一時は仲直りしたカルロスと共演アルバムを作る話があったらしいが、それは結局サンタナの82年作『SHANGO』でのコラボレイトに止まっている。

それから3年以上が経過しての、遅かりしソロ・デビュー作。収録は全10曲で、2つのプロダクツから構成される。まず頭3曲が名エンジニア、ビル・シュネーのプロデュース。しかもその3曲がどれもひと癖あるカヴァー曲なのだ。まず1曲目<Young Love>はキム・カーンズ『CAFE RACER』(83年)に入っていた楽曲で、作曲者はエディ・マネーや38スペシャルに曲を書いているカナダ人シンガー・ソングライター:ゲイリー・オー。2曲目<Close My Eyes>も、同じくカナダのメロディック・ロック系アーティスト:ポール・ジャンツ作で、オリジナルは彼の同年作『HIGH STRUNG』所収。CCMシンガー:ラス・タフも歌詞に手を加え、<I’m Not Alone>として『MEDALS』に収録している(CCMチャート6位)。更に翌年、グロリア・ローリングもカヴァー。3曲目<I Wanna Go Back>は、カリフォルニアのメロディック・ロック・バンド:ビリー・サテライトのスマッシュ・ヒット(84年/全米78位)。地味な楽曲だが、何と87年にエディ・マネーがリメイクして全米14位に仕立てたから、センスは確か、ということだ。この曲を書いたダニー・チャウンシーは、88年に38スペシャルに加入した。

謎なのは、この3曲では、グレッグがヴォーカルに専念して kyd を弾いていないこと。代役はスターシップやコモドアーズなどをプロデュースして頭角を表しつつあったピーター・ウルフ。アレンジも彼だから、実質この3曲はピーターがサウンド・プロデュースしたのだろう。ギター:ダン・ハフ、サックス:マーク・ルッソ、そしてコーラスには 、この年シカゴに加入するジェイソン・シェフの名がある。

他の7曲は、ミラクルズ、REOスピードワゴン、ジェファーソン・スターシップ、Y&Tなどのプロデューサーとして知られる、エンジニア出身のケヴィン・ビーミッシュが制作。デヴィッド・マーゲン(b)、アラン・パスクァ(kyd)、そして何故か作曲でマイク・カラベロ(perc)と、サンタナゆかりのメンバーが参加し、ドラムはジノ・ヴァネリ『BROTHER TO BROTHER』(78年)で鬼ドラムを披露していたマーク・クレイニー。カルロス、ニール・ショーン、スターシップのクレイグ・チャキーコのギター共演も楽しめる。作曲陣もグレッグ自身と参加メンバーたちだ。

その辺りを俯瞰すると、おそらくケヴィン・ビーミッシュがアルバム1枚を完成させたが、レーベル側が「これじゃ売れん!」と納得せず、新進気鋭のピーター・ウルフで追加レコーディングを行なったのではないだろうか。基本的には大らかな西海岸産ロック・アルバムなれど、時代性とメンバー構成からか、ほのかなAORテイストが漂う。その後グレッグはザ・ストームを結成したり、プロジェクトのアブラクサス・プールで作品を出し、近年は、往年のメンバーが再集結したサンタナ『SANTANA IV』(16年)に参加。先日サーの称号を受けたリンゴ・スターのオールスター・バンドでも2度来日(13年2月/16年10月)したけれど、やっぱそれじゃー物足りんでしょ!