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少々ワケありで、シーウインドの1stを繰り返し聴いている。人気曲<He Loves You>は頻繁に耳するし、<The Devil Is A Liar>などベスト盤や再結成盤でも聴ける楽曲はそうでもないけど、フル・アルバムを聴き直すのは、実はかなり久し振り。もしかして紙ジャケが出て以来? …というコトは、もう8年近く聴いてなかったのか… シーウインドのアルバムというと、カナザワ世代はどうしてもトミー・リピューマ制作『LIGHT THE LIGHT』やジョージ・デュークがプロデュースした4thアルバム『SEAWIND(海鳥)』に行っちゃうからな。

それに比べると、CTI時代の初期2枚『SEAWIND』(76年)、『WINDOW OF A CHILD』(77年)は、若干プログレッシヴなトラックがあるため、むしろ楽曲単位で楽しむ感覚。だからベスト盤に入っているのを聴けば、ある程度 心が満たされてしまうのかもしれない。久々に聴いて、“アレッ、こんなにファンキーだったっけ?” なんて、今さら再認識したりして。メンバーはみんなハワイ出身やメインランドからやってきた人たちだけど、プロデューサーはハーヴィー・メイソン。的確なアクセントを与えているパーカッションは、東西のスタジオ・シーンで活躍していたポウリーニョ・ダ・コスタとラルフ・マクドナルドの両名手だ。<He Loves You>の絶妙なブラジリアン・グルーヴなんて、まさにポウリーニョいればこそ。<A Love Song>でギターのバド・ニュアニスがリード・ヴォーカルを取ってたなんて、まるで忘れていた。

それでもやっぱりのこのグループの魅力は、ポーリン・ウィルソンの、小振りながらパンチ力のあるヴォーカルと、後にクインシー・ジョーンズも起用したキレの良いホーン・セクション。それを惹き立てる小気味良いグルーヴもユニークだ。それから少々見過ごされがちだけど、ドラマー:ボブ・ウィルソンが書く楽曲の数々が、シーウインド独特のテイストを放っているのを見逃さずに。

ちょっと調べてみたら、レア・グルーヴ〜フリーソウルの文脈で90年代から人気が高まった<He Loves You>は、 アン・サリーやソウル・ボッサ・トリオ、GENAI、パプリカ・ソウルなどがカヴァーしていた。でもそのいずれもが邦楽系、もしくは日本で人気のあった洋楽アーティスト。76年のリリース直近でカヴァーしていたのは、ジャズ・ピアニスト三保敬太郎の奥方:宮崎正子のソロ・デビュー作『GET MY WAVE』(78年)ぐらいか(バックはザ・プレイヤーズ/詳細はこちらから)。マニアはとうにご存知だけど、シーウインドの歌詞はややリリジャスに傾倒しているので、この “He” も彼氏ではなく“ジーザス”を指す。なので英語圏のアーティストには、少々カヴァーしにくいナンバーなのだろう。もちろん日本のシンガーは、それをラヴ・ソングとして心置きなく歌っちゃう。ならばこの女性シンガーに歌わせてみたい…、カナザワがそう思っているシンガーもいるんだよね

ちなみに09年のシーウインド再結成時、新作『REUNION』に絡めてポーリンにインタビューしたことがある。歌声はほぼそのままだったけど、ハワイ島ヒロ生まれのキュートなトランジスタ・グラマーは、見事にフツーのオバサンになってました…