ray thomas
今年はやたら訃報が多いなぁ…。年末に、今年4月の “ロックの殿堂” 入りが決まった英国のベテラン・ロック・バンド:ムーディー・ブルースのフルート奏者レイ・トーマスが、4日に逝った。健康上の理由でグループから02年に離脱し、現在のラインナップからは外れているが、結成〜全盛期の在籍なので、殿堂入りのメンバーになっている。享年76歳。

レイ・トーマスは、64年にバーミンガムでムーディー・ブルースが組まれた時の結成メンバー。当時はR&B的な音楽性だったが、メンバー2人が脱退し(ひとりはウィングスでおなじみのデニー・レイン)、オリジナル・メンバーのレイ・トーマス、マイク・ピンダー、グレアム・エッジに、新加入のジョン・ロッジ、ジャスティン・ヘイワードという5人になった。音楽性もメロトロンやシンセサイザーなどの電子楽器、あるいはオーケストラとの共演など斬新な方向を目指すようになり、プログレッシブ・ロックの草分け的な存在とされる。とりわけシンフォニック・ロックの礎を築いたとされ、英米では人気が高い。

個人的には少々馴染みの薄いグループではあるが、代表曲<サテンの夜>収録の『DAYS OF FUTURE PASSED』(67年)、71年のヒット・アルバム『EVERY GOOD BOY DESERVES FAVOUR(童夢)』あたりは、むかしよく聴いたな。しかし過酷なツアーに疲弊したメンバーたちは、74年にグループの活動停止を決定。各メンバーが順次ソロ活動に向かう。この時レイが制作したのが、上掲『FROM MIGHTY OAKS(樫の木のファンタジー)』(75年)と、『HOPES WISHES & DREAMS(希望、願い、そして夢)』(76年)という2枚のアルバム。どちらもムーディー・ブルースのファンタジックなスタイルを受け継いでいて、いきなりオーケストラが登場する前者はそれが濃厚。後者は多少ポップ色が強くなり、キャッチーな楽曲とシンフォニックな楽曲を使い分けて親しみやすさを演出した。ドリーミーなアートワークは、この1stソロの方が雰囲気あるけれど。

結局レイが遺したソロ作品は、この2枚だけ。77年からは活動を再開したムーディーズに戻り、その後はソロ・アルバムを作らなかった。ヴォーカルはちょっとイケズなMORシンガーみたいだが、ムーディーズ好きなら避けては通れない作品だろう。少し前に2作を一緒にしたCD3枚+DVD1枚のボックス・セットも出ている。殿堂入りの式典は、期せずして追悼パフォーマンスになりそうだ。

Rest in Peace...