marva king

明日書こう。今度は書こう。そう思っていたのに、断続的に飛び込んでくる訃報で何度も後回しにしていたネタをようやく。拙監修【AOR CITY 2017】から再発されている1枚で、かのリチャード・ペリーのレーベル:Planetから81年にリリースされたマーヴァ・キングの1stソロである。

90年代終盤にプリンス率いるニュー・パワー・ジェネレーションのメンバーとして名を上げたマーヴァは、アンドレ・クラウチのクワイアなどゴスペル経験を経て、80年代初頭からスタジオで歌い始めたベテランだ。ギャップ・バンドのレコーディングに参加したのを手始めに、ハーブ・アルパート、ダイアナ・ロス、ライオネル・リッチー、ボビー・ウーマック、テディ・ペンダーグラス、ジャネット・ジャクソン、そしてチャカ・カーンにスティーヴィー・ワンダーなど、キラ星のような大物たちのセッションで歌ってきた。81年には、キーボード奏者/アレンジャーで当時の夫:ジョン・バーンズ(kyd, arrange)が引率するプロジェクト:マダガスカルに参加。エド・グリーン(ds)や、まだ無名だったジェラルド・アルブライトとアルバムを作っている。90年には、アンサード・クエスチョンというユニットでもR&Bヒットを飛ばした。

このアルバムを出したPlanet Recordsは、78年から数年間稼働した。オーナーのペリー自らがプロデュースするポインター・シスターズを看板に、クリス・トンプソンがいたナイト、マーク・ゴールデンバーグ在籍のクリトーンズ、クインシー・ジョーンズの懐刀グレッグ・フィリンゲインズ、ジャズ・コーラスのフル・スウィング、それに元ライチャス・ブラザーズのビル・メドレーなど、ひとクセありそうな実力派を揃えていた。その中のひとりがマーヴァであった。

とはいえ本作の中身は、ある意味 正統派。夫バーンズの他に、ジョン・ロビンゾン/ジェフ・ポーカロ/オリー・E・ブラウン(ds)、ポール・ジャクソンJr./デヴィッド・ウィリアムス(g)、エイブラハム・ラボリエル/フレディ・ワシントン(b)、ワンダーラヴの重鎮ネイザン・ワッツ(b)、ランディ・ウォルドマン(kyd)、やはりスティーヴィーのシンセ・プログラマーだったビル・ウォルファー(syn)、レーベル・メイトのフィリンゲインズも参加した、馴染みやすい西海岸産アーバン・ソウル・アルバムになっている。中にはナンとアンドリュー・ゴールドがドラムを叩く曲まであったりして…。

注目曲は、スモーキー・ロビンソン作でメリー・ウェルズのヒット<Two Lovers>、人気ライター:トム・スノウ提供の<Here We Go Again>、現ゲヴ・モーが書いた<Think It Over>あたり。そして何より、ケニー・ロギンズやペイジスでお馴染み<Who's Right ,Who's Wrong>、カントリー・シンガー:エディ・ラビットが79年にヒットさせた<Suspicions>(全米13位)が、もろAORしている。クラウチ系のゴスペル出身シンガーは多いが、彼女はマキシ・アンダーソンやフィリス・セント・ジェイムスに負けず劣らず、良いアルバムを残した。

もっと本作は商業的成功は叶わず、マーヴァは翌82年にチャック・シゼルのアルバムに参加。デュエット曲<If I Had The Chance>がR&B43位をマークしている。その後はやはりプリンス効果で、00年代になって、いくつかソロ・アルバムをリリースした。