denise lasalle

午前中に家を出て、ずーっとレコーディング・スタジオに籠もりっぱなしの一日。職業柄、スタジオに出向く機会は少なくないが、録音現場に制作サイドの人間として参加するなんてことは珍しく、いろいろ勉強になった。しかしその缶詰の間に、2件のミュージシャン関係の訃報が内外から。最初に飛び込んだのは、サザン・ソウルの大御所デニス・ラサールの訃報。そして夜になってからは、BABY METALのサポート・ギタリスト:藤岡幹大の急死が。まったくナンて年始めなんだ、今年は…。

デニスは年明けの8日、テネシー州の病院で死去。以前、糖尿病で片足を切断したが、その術後の合併症が原因と見られている。享年78歳。カナザワ的にはあまりご縁は深くなかったけれど、それでも何枚か、よく聴いてた作品があった。この83年作『A LADY IN THE STREET』もそのひとつ。

サザン・ソウルというと、コテコテの粘着質ヴォーカルや絶唱タイプが好まれるが、デニスも声はもっとマイルドで緩やか。意外にも作曲の才を持ち、ヒット曲のほとんどが彼女自身のペンであった。マラコ・レーベル移籍第1弾で、ディスコ路線から帰還を果たした本作も、収録曲の半分がデニス作品。そうしたシンガー・ソングライター的資質も、彼女がサザン・ソウル特有の匂いを持たなかった理由かもしれない。

アルバムの残り曲も、フレデリック・ナイト、フランク・ジョンソンなど、サザン〜ディープ・ソウル一辺倒ではないソングライターの作品。Z.Z.ヒルのヴァージョンがマラコ屈指のヒットになっている<Down Home Blues>にしても、仕上がりに何処か軽さがある。フィリップ・ミッチェル作の<Come To Bed>なんて、あまりに直球な誘いソングなのに、ストリングスをたっぷりまぶした洒脱なアレンジでイヤラしさはない。そうか きっとその辺りが、カナザワのセンスにフィットしたのだな(←ホントか!?)

いずれにせよ、デニスに Rest in Peace...