live under '77

ゴスペル界の大物エドウィン・ホーキンスが亡くなったり、クランベリーズのシンガー:ドロレス・オリオーダンが46歳で急逝したりと、年が変わってから訃報が続いている音楽シーン。でもカナザワ的にはほとんど思い入れがない方たちなので、ココは お悔やみだけ申し上げることに。ご同業にはそうした情報をしっかりフォローされる方もいるが、想いがなければただのニュース・ソースに過ぎないので、自分がツラツラと書く必要は感じない。そんな門外漢の弔文になっていない弔文より、ファンの皆さんが溢れる思いをブツけるのが、正しい追悼のあり方だと思っている。

ってなワケで、ここでは、日本のクロスオーヴァー/フュージョン史に多大な影響を及ぼした夏の風物詩的ジャズ・フェスティヴァル、ライヴ・アンダー・ザ・スカイのライヴ盤をピックアップ。この秋リリースされた【ビクター和フュージョン】シリーズの一枚として、昨年9月末に25年ぶりに再発されたものだ。

このジャズ・フェスは、77年から92年まで15年間続いたビッグ・イベントで、当初は毎年田園コロシアムで3日間ほど行なわれ、国内外の人気アーティストが多数出演。現在の夏フェスのルーツのひとつとになった。このライヴ盤は、その記念すべき第1回開催となった77年の記録で、“JAZZ OF JAPAN” と題された3日目の出演アーティスト7組を、1曲づつダイジェストで収録したもの。その7組とは、

峰厚介グループ
本田竹曠トリオ
冨樫雅彦クァルテット
山本剛トリオ
鈴木勲グループ
日野皓正クインテット
渡辺貞夫クインテット

そしてアルバム最後に、ピックアップ・メンバーによる Jazz Of Japan All Starsで1曲という構成になっている。しかもそれぞれのバンド・メンバーがまた強力で、後々シーンを牽引していくことになるミュージシャンたちが、まだ大御所の下で互いに切磋琢磨にしている姿を楽しめる。例えば、ヒノテルのバンドのkydは益田幹夫だし、ギターにはジョン・スコフィールドが客演。鈴木勲グループには渡辺香津美/秋山一将(g)や笹路正徳(kyd)、宮本典子(vo)がいた。ナベサダ・グループには本田竹曠と福村博が在籍している。

個人的なハイライトは、やはりネイティヴ・サンの前身となる峰厚介と本田竹曠の共演。更に本田グループにベースの川端民生、後から加入するトロンボーン奏者:福村もナベサダの下に、オマケにドラムの村上寛も山本剛トリオで出演と、ネイティヴ・サンの結成/初期メンバーのうち、ギターを全員がこの日のステージに上がっていた。また、mimiこと宮本典子が歌う鈴木勲グループ<Feel Like Makin' Love>も絶品。彼女がソウル・ジャズ的立ち位置で最初のソロ・アルバムを作ったのは、この鈴木勲グループでのキャリアからである。

とにかく録音から40年後のいま思うのは、この頃のクロスオーヴァーは、トライアル精神に満ちていて刺激がいっぱい詰まっていた、ということ。それがフュージョンというジャンルの確立とともに、商業化/大衆化し、完成度の上昇と裏腹にチャレンジ精神を失くしていき、形骸化していったことを如実に感じてしまうのだ。峰グループの益田の燃えるようなローズ・ソロとか、mimiの熱唱、熱いソロ回しが堪能できるヒノテル・グループなど、とにかく聴きどころが盛り沢山。さすがに頭の悪いカナザワには、アヴァンギャルドなフリー・ジャズは理解不能だけれど、その燃え盛るスピリットはシッカリと伝わる。若いリスナー/ミュージシャンも、この頃のシーンに学ぶべきは多いと思うな。