one step fes boxone step_mika band

丑三つ時に叔父が逝き、すぐ動けそうもない喪主に代わって諸々準備。そのまま午後イチで車を飛ばし、都内スタジオでレコーディング立会い。ヘヴンリーな歌声とメロウなサウンドに包まれ、あまりの心地良さに時折正体を無くしていたカナザワ。公私ともに、いろいろ貴重な経験をさせてもらってます。そんなこんなで、自分を奮い立たせようと、深夜にこのボックスを開封した。日本のロック・イベントの原点と言われる ONE STEP FESTIVAL(74年)のライヴ音源をCD化した 21枚組の永久保存箱。25000円超えのプライスに二の足を踏んだけど、日本のポップ/ロック史を語る上では、資料的に絶対必要。そこで特典には目をつぶり、溜めていたポイントなど駆使して手の出る値段に自己設定し、何とかゲットした。

このフェスは、福島県郡山市で洋品店を営む一青年がウッドストックに触発され、 4年がかりで企画。内田裕也と石坂敬一(当時は東芝EMIディレクター)がプロデュースを買って出て、74年8月に5日間にわたって開催された(前夜祭のアマチュア・ライヴやイベント含めると1週間以上)。スローガンは「街に緑を! 若者に広場を! そして大きな夢を!」。39組の邦人アーティストに加え、米からもヨーコ・オノ&プラスティック・オノ・スーパー・バンド、クリス・クリストファーソン&リタ・クーリッジが参加した。出演アーティストは基本ノー・ギャラで、スタッフはヴォランティア。まさにみんなの情熱が作り上げたイベントで、今では到底考えられないシロモノだった。

ちなみに当初はジョン・レノンにアプローチしたそうだが、流石にそれは断られ、ヨーコさんが里帰りライヴを決断したという。全出演41組のうち、ヨーコさん、キャロル、シュガー・ベイブ、陳信輝グループの4組が未収なのが残念だが、諸事情を鑑みれば、これは致し方ナシだろう。それよりココまでの重量級ボックスにしたことだけで、充分に価値ある仕事である。プラスティック・オノ・スーパー・バンドの面々は、スティーヴ・ガッド&リック・マロッタ(ds)、ブレッカー・ブラザーズ(horn)、スティーヴ・カーン(g)、ドン・グロルニック(kyd)、アンディ・ムーソン(b)という、今では信じがたいメンツが一緒に来日した。(ボックス詳細はコチラが詳しい

21枚組というヴォリュームなので、一体いつ聴き終えるのか、果たして全部聴くのだろうか?という疑問なきにしもあらずだが、まず気になったところから、順次ピックアップしていこう。

まずは最終日の登場のサディスティック・ミカ・バンド。かの『黒船』発売前のタイミングで、まだ知名度が低いせいか、“加藤和彦&” という冠が付いている。とはいえ、2ヶ月後の発売を控えた『黒船』から、<堀までひとっとび>や<タイムマシンにおねがい>を披露。新曲だけにウケはもうひとつながら、ミカ・バンドの演奏力、ファンキーなリズム・センスは他の出演アーティストとは一線を画しており、彼らが如何に進んでいたかがハッキリ伝わる。ミカがヨーコさんに感化されたか、奇声を上げる瞬間も。時代が時代だけに音質は褒められたモノではないが、MCの中で海外ツアーが決まったことを発表するなど、グループとしてイケイケの時期。高橋幸宏のシュアなドラミング、ブイブイ唸る小原礼のベース、今井裕のローズの音色など、演奏面の魅力もシッカリ。彼らの短い活動のハイライトのひとつが、このワンソテップと言って良いだろう。

当時カナザワは中学2年生。ちょうどロックに目覚めた頃だった…。

1.堀までひとっとび
2.影絵小屋
3.ピクニック・ブギ
4.銀座カンカン娘
5.ロックンロールバンド
6.タイムマシンにおねがい
7.ダンス・ハ・スンダ