tarika blue

新人女性シンガーのライヴへお誘いを受けていたところ、仲良くして戴いてる某作曲家の先生から久しぶりにお声が掛かり、電車で代々木方面へ。まだ雪も溶けきらぬ街へ出たが、昨日1時間半近く、気合い入れて雪掻きした影響で腰回りに痛みが… 最近それなりに身体を動かしていたものの、さすがに今回はちょっとロボットみたいな歩き方になっている。カクカク…

さて今回は、最近怒涛の如き廉価リリース・ラッシュが続くクロスオーヴァー/フュージョン物から。でもインディ発信の再発はレーベルごとの玉石混交リイシューで、出したあとは放置プレイ。「バイヤーさん、あとはヨロシクね!」というスタンスで、再発情報が行き渡らず、ユーザーはあっさり買い逃す。どうも作品に対する愛情が感じられないんだな。オマケにそうしたリイシューには、我が同業者の解説にもヒドイのがあって、悲しい想いに苛まれる。まぁ、そういう方は確実に仕事を減らしてるようで、自業自得ですけどね…。

で、タリカ・ブルー。レア・グルーヴ方面で脚光を浴び、エリカ・バドゥが<Dreamflower>をネタ化したことで注目度がアップした、浮遊感抜群のメロウ・グルーヴ系クロスオーヴァー・グループだ。70〜78年に運営されていたジャズ・レーベル:キアロスクーロに所属し、今回のリイシューもその流れ。ただしキアロスクーロはスウィング系やピアノ・ジャズ中心のレーベルなので、こうしたスタイルはかなり異色。タリカ・ブルーの母体が pf / kyd奏者フィル・クレンデニンを中心とするトリオだったので、こういう形になったらしい。他のメンバーには、ニューヨークで修行していて74年に加入した川崎燎(g)、2ndには ハービー・マンやロイ・エアーズの下で活躍したジェイムス・メイスン(g)、同じくエアーズの下からコイノニアに名を連ねたフスト・アルマリオ(sax)もクレジットされている。

このCDは、その77年作の2nd8曲に、76年の1st『THE BLUE PATH』の6曲中5曲をカップリングしたもの。収録が2nd→1stの順で、しかも発掘のキッカケとなった<Dreamflower>をオープニングに配置してプッシュしているため、オリジナルに準じた形ではない。輸入盤では10曲入りベストが出たこともあった。それでも、この幻のグループのほぼ全容が掴める点で大変意義深い再発だし、それがこうして日本発売されたことも嬉しい ただその情報が、どうにも行き渡ってない気がするんだけどね…

エリカが引用した<Dreamflower>が象徴的なように、押し並べてダウナーなメロウ・グルーヴをベースにし、その上に表情豊かなヴォーカルや小技の効く演奏陣がキラリと光るプレイを乗せている。<Truth Is The Key>や<Love It> <You'll Be ith Me>では、ベイビー・ヴォイスでジャジーに迫る女性シンガー:アイリーン・ダッチャーがアンバランスな魅力を放出。川崎燎とジェイムス・メイソンのギター陣はソロで、曲によっては2人で絡みながら、アクレッシヴなフレーズで斬り込んでいく。如何にも70'sっぽいシンセの音色、エレピの揺らぎ感も、時節柄、今ならとてもクールに耳に馴染むはず。

いま Suchmos あたりに熱狂している若い音楽ファンたちの何%かをコチラに誘導できら、とても面白いコトが起こりそうなんだけどなぁ…