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早朝に家を出て、JR特急で八ヶ岳の麓へ。そこにある隠れ家的レストランに招待され、某プロデューサー&スタッフの方と絶品イタリアンを囲んできた。その皆さんが写したデヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドン、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドゥ、ラリー・カールトン、ネイザン・イースト、ボブ・ジェームス等などの、80年初頭〜90年代頃のプライヴェート・ショットの数々を見て、静かに興奮 夕方には東京へ戻る慌ただしさだったが、自分じゃなかなか行けないので、プチ旅行気分でリラックスできた。真っ昼間からのワインも メチャ美味でした

さて今日のネタは、久々に再発される24丁目バンドを。コロンビアの名レーベル:Better Days 40周年の一環として、高音質CD/最新リマスターで3作まとめてリイシューされるのだ。このBetter Days 周年リイシューは、これまでに渡辺香津美、大野えりなどが出ているが、今回はステップスやムクワジュ・アンサンブル、カラード・ミュージックなどのラインナップ。前衛的ポップ・レーベルに相応しく、かなり振り幅の大きいアーティストが揃っている。24丁目バンド3作の解説は、僭越ながらカナザワが担当させていただいた。

メンバーは、1955年大阪生まれのハイラム・ブロック(g,vo)を中心に、クリフォード・カーター(kyd,vo)、ウィル・リー(b,vo)、スティーヴ・ジョーダン(ds,vo)の4人。発売当時は “24THストリート・バンド フィーチャリング ハイラム・ブロック”とクレジットされていた。というのは、元々Better Daysの当時のディレクターはハイラムにソロ・アルバム制作を打診したが、ハイラムはそれを断り、反対に新しいバンドでのレコーディングを提案してきたという。ハイラム、ウィル、クリフの3人はウィルの父親が学部長を務めていたマイアミ大学音楽学部で出会い、ウィルが72年にドリームスに参加。そのあとクリスとハイラムが一緒にニューヨークへ移ってセッション活動を始め、マンハッタンの音楽学校を出てセッション・シーンに飛び込んだスティーヴと親しくなった。

24丁目バンド結成の発端は、77年のこと。ハイラムが参加していたデヴィッド・サンボーンの公演で急遽オープニング・アクトが必要になり、ハイラムが急造バンドを組んで出演することに。でもこれが好評を呼んでレギュラー化。スティーヴが、米TV番組『サタデイ・ナイト・ライヴ』で一緒にハコバンをやっていたウィルを誘い、78年に24丁目バンドがスタートした。

78年12月中旬にわずか3日間で録音された1stアルバムが、『THE 24TH STREET BAND』。ライヴ・ステージをそのままパッケージしようという意図で作られたようで、ハイラム作4曲、クリフの作が3曲。インスト<Quack!!>以外は、それぞれソングライターがヴォーカルを取る。しかも適度にポップでファンクかつロックしていて、曲調もバラエティに富む。カリプソを忍ばせたクリフのパーティ・ソング<Down To The Waterfall>、思わず一緒に歌っちゃう<Full-Time Love>など、いわゆるフュージョン・バンドがヒット狙いで歌モノに取り組んだ あざとさはなく、<Shoppin’ ‘Round Again>はハイラム生涯の代表曲となった。

80年8月発表の2nd『SHARE YOUR DREAMS』は、たっぷり1ヶ月を費やしてのレコーディング。プロデュースにポール・シェイファーが立ったが、彼は『サタデイ・ナイト・ライヴ』のハコバンを仕切っていた人で、メンバーたちからの信頼が厚かった。作品的にはモア・ポップで、予備知識ナシではフュージョン系バンドとは思えない。この辺り、TOTOの成功を横目で睨んでいたのでは? テクノのエッセンスを忍ばせた<Ricky And The Radio>なんて、バグルス<ラジオスターの悲劇>を意識したかのようだ。ジャズを通ったメンバーだが、ウィルやスティーヴのビートルズ愛には並々ならぬモノがあるし、ハイラムもジミ・ヘンドリックスに傾倒。何より4人全員が “楽しむこと” に主眼を置いていた。バンドの求心力、アルバムの完成度、共に前作を凌駕したが、これが日本でしか発売されなかったことで、メンバーのモチヴェーションが下がってしまったのかもしれない。もっとも本作制作時に、次の訪日でライヴ録音を行なうプランが既に出ていて、ステージ映えしそうな楽曲は使わずにキープ。ハイラム提供曲が2曲と少ないもの、その辺りが関係したようだ。

その2度目の来日公演(81年1月)で録られたライヴ盤が『BOKUTACHI』。メンバーは “なるべく早く日本へ戻って来たい” と言い残して帰国したが、結局それは叶わず、ハイラムとウィルはそれぞれのセッション・ワークがますますハードに。クリフは元パット・メセニー・グループのマーク・イーガン&ダニー・ゴットリーブ(共にマイアミ時代からの友人)が組んだエレメンツに合流。スティーヴはスティーヴ・カーン(g)のアイウィットネスに参加後、独自色を強めてローリング・ストーンズのキース・リチャーズやニール・ヤングら大物ロック勢に接近。近年はエリック・クラプトンのツアー・メンバーや、ボズ・スキャッグス、ジョン・メイヤーのプロデュースなどで活躍している。そんな中、ハイラムは08年に逝去。あれはサスガにちょっと早過ぎたよ…