fleetwood mac_75

フリートウッド・マックの75年作『FLEETWOOD MAC(邦題:ファンタスティック・マック)』の2018年リマスター/エクスパンデッド・エディションを、ようやく。国内盤が出たのは、通常盤とアーリー・ヴァージョン入りの2枚組だけなので、カナザワはライヴとサラウンド・ミックス、アナログ盤が追加された輸入盤の限定5枚組デラックス・エディションを購入。だって最大の目的は、5.1chミックスだからね。逆にアナログは、オリジナル国内盤を持っているので要らんのだが… 

作品的には、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスがセットで加入しての初アルバム。ホワイト・ブルースからポップス志向に転換したものの、今イチ伸び悩んでいたマック最初の出世作(全米トップ)だ。どうしても次作『RUMOURS(噂)』に注目が集まるけれど、その大ブレイクの導火線となったアルバムであり、新布陣の音楽的は既にココで完成していた。個人的にも、野外で<I'm So Afraid>を演奏する映像を見てマックに興味を持ったので、『RUMOURS』より思い入れは深い。確かに名曲の数はアチラの方が多いけど…。

あまり意識してなかったが、今回の拡大版で、<Over My Head>、<Rhiannon>、<Say You Love Me>、<Blue Letter>に、それぞれシングル・ヴァージョンがあったことを知った(オリジナル・ディスクにボーナス収録)。演奏やアレンジの違いより、おそらくはラジオの電波乗りを意識したミックスなのだろう。単純にポップで親しみやすくなっただけでなく、そうしたキメの細やかさが、リスナー・フレンドリーな手管が、彼らを大物に仕立てたのである。

まだディスク2で聴けるアーリー・ヴァージョンは、デモ・トラックではなく、リズム録り後のビルド・アップ途中のヴァージョンが多い様子。ヴォーカルがラフだったり、完成版で鳴っているはずの音が聴こえなかったりするものの、既にギターが重なった曲が多く、それほどネイキッドな印象はない。

ディスク3のライヴは、当時のツアーから。つまり、リンジーとスティーヴィー参加後の初ツアー音源と思われ、<Oh Well>や<The Green Manalishi>といった古き定番曲以外にも、かなり珍しい楽曲が聴ける。だってオープニングからして、クリスティン・マクヴィーがチキン・シャックにいた頃に書いた曲だし、ボブ・ウェルチ時代のレパートリーも演っている。まさに歴史アリ、の未発表ライヴだ。

そしてサラウンドは、あらら、こりゃーもう期待以上の出来で… 最近のサラウンド・ミックスは、かなり思い切った音の振り方をしてくるので、リスナー的には滅法 面白いのだが、このミックスを乱暴に言ってしまうと、リズム隊とリード・ヴォーカルは前から、ギター群とハーモニーは後ろから、みたいな しかも、2chミックスでは気づかなかったギターのフレーズやパーカッションなどがクッキリと浮かび上がって、オヨヨ状態に陥った この前に出た『TANGO IN THE NIGHT』よりも作りがワイルド。緻密なのは『TANGO...』の方かもしれないけど、時には激しくてチョッと刺激的なのもスキなんです…

アナログはまだ聴いてないものの、一応これでバッキンガム=ニックス期のマックのアルバム群(リユニオン以降は除く)は、すべてデラックス盤で揃えたことに。初回日本盤アナログ、初回CD、リマスター、そしてデラックス仕様と、一体何枚づつ持っているのか ついでに、意外にもこの時期の作品は、紙ジャケ盤が出てなかったことに、いま気づいた(それ以前はひと通り出ている)。オマケにこの頃のスティーヴィーは、とてもコケティッシュでウットリするほど。更にUSでは、日本では考えられないほどのカリスマ的人気があり、今も女性信者を増殖させているらしい。いずれにしても、何とか久々の日本公演が実現しないものかね。