dennis edwards

あぁ〜、また訃報が立て続けに2本。一緒にまとめてしまうには大物すぎるというか、カナザワ的に思い入れが深いので、2本に分けてポストしよう。まず3日早朝に届いた訃報は、元テンプテーションズのリード・シンガー、デニス・エドワーズのもの。2月1日に、ツアー中のシカゴの病院で死去した。享年74歳。2日後に75歳の誕生日を控えていた。

テンプスというと、デヴィッド・ラフィンとファルセットのエディ・ケンドリックスの2枚看板がフロントを張っていた頃が最も有名。そのラフィンが独立した68年に、後任として加入したのがデニスだった。この時期は、プロデューサー:ノーマン・ホイットフィールドが作るユニークなサウンドが特徴的で、そこにデニスのパワフルなヴォーカルが乗ることで、テンプス第2の黄金期を呼び込んだ。<Cloud Nine>や -<I Can't Get Next to You>、<Papa Was a Rollin' Stone>あたりは、いずれもデニスのヴォーカルでヒットしたナンバーである。

70年代末〜80年代はテンプス脱退〜加入を繰り返す放蕩ぶり(?)だったが、84年に初ソロ作『DON'T LOOK ANY FURTHER 』を発表。サイーダ・ギャレットとデュエットしたタイトル曲が、全米R&Bチャート2位の大ヒットになった。この曲はグラウンド・ビートの元祖とも言われ、クールに揺らるビートとヒンヤリしたシンセが特徴。しかも作曲がデニス・ランバートとフラン・ゴールド、デュアン・ヒッチングスという白人チームで、アレンジにポール・ジャクソンJr.が絡んでいたりする。

…というか、アリ・オリ・ウッドソンが後任を務めていた本家テンプスと同様、デニス・ランバート自身がプロデュース。ブレーンには元プレイヤーのピーター・ベケット、ロビー・ブキャナンらがいて、参加ミュージシャンにもジョン・ロビンソン(ds)やネイザン・イースト(b)、フレディ・ワシントン(b)、シーウインド・ホーンズ…といったAOR勢が多数参加。コーラスにはデニス・ランバートやサイーダ、フランに加えて、フィリップ・イングラム(ex-Switch)らが名を連ねていた。デニスのストロング・スタイルの吠えるヴォーカルは強力そのものだが、楽曲は意外にポップ志向なのだ。

初CD化は英国の復刻レーベルBBRで、それも11年のこと。実はその数年前、カナザワが手掛けたアーバン・ソウル系再発プロジェクトの中で、本作と85年の2nd『COOLIN' OUT』のリイシューを申請したことがあった。でも何故かそれは叶わず、2ndの方は未だCD化されていない。メンバーもほぼ同じである。一番の違いは、時代的背景があってか、プログラミングやシンセが頻用されていること。こんなことになるなら、デニスが率いてツアーしていたテンプテーションズ・レヴュー、観ておくべきだったな。

Rest in Peace...