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ソングライターの山口美央子が、80年代にシンガー・ソングライターとしてリリースした3作品『夢飛行』『NIRVANA』『月姫』が、デジタル・リマスター/紙ジャケット仕様でリイシューされた。前2作は井上鑑がアレンジ or サウンド・プロデュースで関わり、3作目は立川直樹がプロデュース、アレンジに土屋昌巳(一風堂)という陣容。デビュー当時からYMOで有名なシンセ・プログラマー:松武秀樹が関わっており、ジャパネスク的世界観と斬新なポップ感覚をちりばめたアーバン・ポップスを展開している。ココでは、一足飛びに摩訶不思議なテクノ・ワールドに飛び込み、最近はアンビエント的評価が高まる『月姫』(83年)は一旦脇へ置き、ライトメロウ的視座から『夢飛行』と『NIRVANA』をご紹介しよう。

デビュー・アルバム『夢飛行』は、AOR全盛に差し掛かりつつあった80年のリリース。<恋のエアプレイ>なんて曲があるが、コレはまさにデヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドンのエアプレイを意識して作った曲だそう。でも一方で、レゲエのリズムを下地にしてポップなメロディを乗せた楽曲が多く、ほのかにエキゾチック。細野(晴臣)ワールドに相通ずるチャンキーなセンスも窺え、例えば『はらいそ』をもう少しアク抜きしたようなテイストがある。井上鑑アレンジということで、バックには林立夫、今剛、マイク・ダン、斎藤ノブといったパラシュート勢に、土方隆行、高水健司、山木秀夫、ペッカー等など。インタルード的には入っている<A DREAM OF Eμ>なるインスト曲は、美央子自身がシンセを弾いており、ほとんどYMO状態だったして…。時々顔を出す和の旋律や純邦楽の楽器類は、当時彼女が傾倒していた横倉豊『LOVE LIGHT』の影響らしい。そうした異分子がバランスよく同居し、それが少しヒネったシティ・ポップスとして成立しているのが、この1stアルバムである。

翌81年の2nd『NIRVANA』も、前作の延長上にある作品。サウンド・プロデュースは引き続き井上鑑で、拙監修のシティ・ポップ系ガイド本『Light Mellow 和モノ Special』にも、このアルバムを掲載している。参加メンバーは、松原正樹/今剛、林立夫らパラシュート勢を中心に、田中章弘 長岡道夫、岡沢章、高水健司、山木秀夫、浜口茂外也、八木のぶおと相変わらずの豪華さ。<いつも宝物>はバグルス、<Lonely Dreamer>がイーグルスの<Desperado>を意識した楽曲だそうだ。AORファンにアピールしそうなのは、軽やかな都会派チューン<風に抱かれて>。作品トータルとして、前作よりわずかにポップ路線に寄った感があるが、ほとんど2枚セットと考えて良いだろう。せっかくの紙ジャケットなのに、穴アキのギミック・ジャケットが再現されてないのは残念だが、作品的にはようやく…、という嬉しい初CD化だ。

実をいうと4年前、レコード会社13〜4社で作った Light Mellow 和モノのコンピに、この<風に抱かれて>を入れようとしたことがあった。美央子嬢の3作のオリジナル・アルバム3枚は、いずれもキャニオンから発売されていたので、そのキャニオン編に収めようとしたのだ。もちろんオリジナル再発も視野に入れて。ところが原盤がキャニオンではなくアルファ・ミュージックで、諸々条件がが合わず、その時は見送らざるを得なかった。今回は、音楽家団体幹部になられてる松武秀樹氏の肝入りにより、また違ったルートでの再発。YMO方面を中心に、幅広く浸透してくれれば嬉しいな。