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いやぁ〜、変わりませんな、ボブ・シーガー。11月に出たから、もう3ヶ月経っているが、とにかく今回はやたらと唐突感が大きかった。…というのも、3年前の『RIDE OUT』が引退作と伝えられていたから。どうやらシルヴァー・ブレット・バンドを引き連れて全米ツアーにも出たらしく、再びの奮起に勇気をもらっている。


この新作は、同郷で親しかった故グレン・フライに捧げられた作品。ブックレットにはボブとグレンの近影があり、アルバム最後には<Glenn Song>なんて楽曲も入っている。もしかしてボブが引退を撤回したのは、「グレンの分もオレが頑張らにゃあ〜」なんて思いに突き動かされたから、かもしれない。ジャケットにあしらわれた若き日のスナップは、グレンと知り合った66年当時のもの。つまり『I KNEW YOU WHEN』と呼応している。

収録曲を見ると、やはり昨年亡くなったルー・リードとレナード・コーエンのナンバーも歌っていて…。そう書くと、何だか悲壮感ばかり漂うが、実際に聴けばボブの歌声は相変わらずの力強さで、心配はご無用。ブレないというより、コレしかできない人なのだろう。でもローリング・ストーンズ同様、ここまでくれば充分に立派。日本じゃロクに理解されずに残念だけれど、これはもう日米の風土の違いから来る音楽的嗜好性の差なんだと思う。不器用な男の哀愁を感じさせるボブのレイド・バックしたカントリー・ポップ・チューン、自分は結構好きなのだが。

で、この新作アルバム。蓋を開けると新録曲ばかりじゃなく、録音時期は20余年に渡る。おそらくレコーディングはしたものの収録から漏れた未発表曲、未完の楽曲など、溜まっていたテープを引っ張り出して、アルバム・サイズに仕上げたのだろう。中には故リッチー・ヘイワード(ds)とビル・ペイン(kyd)…、つまりはリトル・フィート勢を迎えたトラックがあったり、グランド・ファンクにも在籍したクレイグ・フロストがシルバー・ブレット・バンドで活躍してた頃に作ったと思しき曲があったり…。ドニー・ジェラルド(元スカイラーク)やローズマリー・バトラーがコーラスを取る曲があるのも嬉しいな。白ジャケと黒ジャケは、すなわち通常盤とデラックス盤。グレンの命日に発表された<Glenn Song>は、デラックス盤に収録されている。

そりゃー長く生きてりゃ、いろいろあるさ。でも、それでも変わらぬモノ、揺らがぬ想いがあるコトは素晴らしい。カナザワにとっての音楽は、まさに人生の道標。垂れ流して使い捨て、なんてできないよ