pretty purdie

先月フライング・ダッチマンの再発シリーズから、ロック・ドラマー:ジム・ゴードン(名義はジミー・ゴードン)のリーダー作を紹介したところ、やはり皆さんご存知なかったのか、お陰様で大好評(その時のポスト)。そこで今回は、フライング・ダッチマンの本命(?)ドラマー:バーナード・パーディを。このレーベルでのパーディといえば、72年作『SOUL IS』が有名だが、これはその前作に当たる3枚目のソロ作。まだフライング・ダッチマンがレコード会社として本格的に動き始める以前、原盤制作会社との兼業だった時期に、MEGAというナッシュヴィルのレーベルに供給した作品である。そのためか、パーディ作品にしては復刻が遅くなり、今回がようやくの世界初CD化となった。


アルバムの名義は、プリティ・バーディー&ザ・プレイボーイズ。参加メンバーは、コーネル・デュプリー/ビリー・ニコルス(g)、チャック・レイニー(b)、ハロルド・ウィーラー(kyd)、ノーマン・ブライド(perc)+ホーン・セクションほか。録音日とされる71年8月中旬の2日間は、当時のパーディの親方だったキング・カーティス(sax)が、ジャンキーに襲われて非業の死を遂げた当日〜翌日。がその日は、カーティスが所属したアトランティックでさえ業務を停止して喪に服したそうだから、おそらくレコーディングはその前に終わっていたと推察できる。パーディとバンドの演奏には勢いがあり、グイグイと攻め立てるような熱さ、エグいグルーヴを堪能できる。

とりわけ、ベン・E・キング<Stand By Me>やキャロル・キング<It's Too Late>のカヴァーで歌っているのが、バーディ本人だと知って結構ビックリ。オッサン、かなり歌えるやん… <Artificialness>で時の米国大統領ニクソンに悪態(?)つくのは、かのギル・スコット・ヘロンだ。

かつて“パーディ・シャッフル” と呼ばれた超絶グルーヴ、最近は“ダ・チー・チー・チー” などと表現されるオープン・ハイハットの得意技など、話題は尽きない人だけど、実際に名演の数、人知れず。ジェフ・ポーカロをして「オレは<Home At Last>のグルーヴをモノにできたら死んでもいい」と言わしめただ。でも如何にも現場で叩き上げてきた黒人ミュージシャンらしく、その発言は超大風呂敷。何せビートルズが一大ブームを巻き起こした頃、ハンブルグの下積み時代(リンゴ加入前)の録音が世に出ることになって、劣悪なドラムの録音状態を補うべく数曲オーヴァー・ダビングしただけなのに、「オレはビートルズで21曲叩いた」「リンゴはタイム感が悪くて、レコーディングじゃほとんど叩いてない」なんて言っちゃうビッグ・マウスなのだから。なのに最近の若いパーディ・ファンの一部は彼の発言を鵜呑みにして、悪戯に神格化しちゃう構図。知らないってコワイわ…

でもパーディの演奏自体は、そんな発言に関係なく スゴイのひとこと。この際、廉価でシッカリ押さえておくべき盤です。