john oates_arkansas

ホール&オーツの片割れ:ジョン・オーツの新作は、彼のルーツに向きあった、アメリカーナにドップリの作品。彼のアイドルだったミシシッピ・ジョン・ハートへのトリビュートとしてスタートしたプロジェクト:グッド・ロード・バンドを従えてのアルバムとなる。だからホール&オーツ・ファンは全然お呼びじゃなくて、普段は80'sの売れセン・アーティストをコケにしてるようなウルサ方にこそ、是非聴いてほしい内容なのだ。

ジョン曰く、「ブルーグラスに浸し、デルタ・ブルースで塩味をつけたディキシーランド音楽のようなもの」とか。熱心なジョン・ファンであれば、彼のソロ活動の基盤は、ホール&オール・ファンにもアピールするコンテンポラリーなブルー・アイド・ソウルの作と、自身のルーツを顧みてのフォーク〜ブルース作の二本立てであることは知っている。今作はその後者のタイプで、しかも一番深いところを掘り起こした感がある。

ジョンの書き下ろしは、タイトル曲を含む2曲だけ。他はミシシッピ・ジョン・ハートのレパートリーを中心に、トラディショナルなブルースやブルーグラス、ラグタイムへと守備範囲を広げた、興味深い回顧的コレクションになっている。ポップ・アーティストによるスタンダード・カヴァーというと、1940〜50年代に遡るのがせいぜいだが、このアルバムは更にその前、1900年代初頭〜30年代に書かれた楽曲が多数。それをジョンは、比較的オリジナルに忠実なアレンジで甦らせているそうだ。

ナッシュヴィルでのレコーディング・セッションに集まった面々は、カナザワにはまったく馴染みのない人たちながら、実はいずれもアメリカーナ方面での精鋭ミュージシャンたちだという。基本は昔のアレンジでも、何処か耳触りが心地良いのは、近年のアメリカン・ルーツ・ミュージック復興の動きを反映して、というよりも、ジョンのアレンジのひと捻りや、いま活躍しているサポート・ミュージシャンたちの温故知新的センスが隠し味的に作用しているからだろう。唯一 馴染みのある名が、<Pallet Soft And Low>でコーラスを取るウェンディ・モートン。表舞台から去って久しいけど、シッカリ歌い続けているようで安心した。

日本ではスルーされても不思議ではない内容だが、シッカリ国内盤仕様での流通に踏み切ったレコード会社にも拍手。レッド・ツェッペリン再結成を拒んでアメリカーナに挑戦し、グラミーを勝ち取ったロバート・プラントに魅せられている方ならきっと、ジョンのこのアルバムにも感じる処があると思う。ピーター・バラカンさんのラジオ番組のファンなんか、きっとストライクだな。ホール&オーツでも「初期の『ABANDONED LANCHONETTE』が一番好き!」という方なら、聴いて損はないだろう。ハスキーなジョンの歌声、イイ感じでリキ入ってます。