jacob collier_pure
この週末は、先週取った角松敏生、ブルー・ペパーズそれぞれのインタビューの仕上げ。その中で、ブルー・ペパーズの2人が「僕らがやりたい、作りたいと思ったことを既にやっている。僕らよりも若いのに…」と絶賛していたのが、このジェイコブ・コリアーだ。一昨年の来日公演を見たときの感想は、以前、こちらのポストでレビューしたが、彼らの言葉を受けて、ココではまだ紹介してなかったこのアルバムを引っ張り出した。ジェイコブ君の昨年9月の来日に合わせて、日本のみでリリースされた驚異のヒット曲カヴァー集である。

収録曲は、以下の通り。( )内は原曲。

1. Don't You Worry 'Bout A Thing(Stevie Wonder)
2. Close To You(Carpenters / written by Burt Bacharach - Hal David)
3. Georgia On My Mind(Ray Charles)
4. Pure Imagination(Sound Track from『夢のチョコレート工場』)
5. The Road Not Taken(オリジナル)
6. Oh What A Beautiful Morning(Ray Charles / from Musical『Oklahoma』)
7. Isn't She Lovely(Stevie Wonder)
8. P.Y.T.(Michael Jackson)
9. In The Bleak Midwinter(X'mas Song)
10. Fascinating Rhythm(George Gershwin)

そのパフォーマンスの凄まじさはPVをご覧戴けばすぐに分かるはずで、<Don't You Worry 'Bout A Thing>は再生回数230万回を突破したそう。しかもPVで観られる楽曲も含め、全曲、本作が初CD化だという。

ちょうどジェイコブがクインシー・ジョーンズやハービー・ハンコック、チック・コリア、ジェイムス・テイラー、インコグニート、ジェイミー・カラムらから絶賛され、大きな注目を集める少し前、パット・メセニーのオーケストリオンが話題になった。この “オーケストリオン” とは、オーケストラが実演しているように多くの生楽器を自動演奏するシステムのこと。ミソなのは、本物のアコースティック楽器を実際に叩いたり弾いたりして音を出している点で、その動作自体をコンピュータ制御している。そのためメセニーは、優秀な科学者や技術たちと共に膨大な時間と予算を費やしたそうだ。でもそれをジェイコブはサンプリングや同期を駆使しながら、オーディエンスの目の前でアッという間に構築させてしまう。

もちろん「生楽器」と「サンプル音源」という差はある。でもライヴの醍醐味を欠く点では、度肝を抜かれるほど壮大なオーケストリオンも、決して生演奏とは言えず…。極論すれば、「生楽器」にこだわっただけのマスターベーションにしか見えない。果たしてどちらに可能性があるかといえば、間違いなくジェイコブ。しかも手法がスゴイだけでなく、シッカリ音楽を奏でていて、コンテンポラリーな指向性をも反映させている。このアルバムはスタンダードやヒット曲のカヴァーだけれど、これで曲作りに磨きが掛かったら、ホントに手がつけられなくなるはず。ブルー・ペパーズならずとも、大いに期待して見守りたい天才クンなのである。