rick springfield_018

11年に観に行ったリック・スプリングフィールドの来日公演は、それまでの彼のスマートなポップ・スター的イメージを軽く覆えしてしまうほど、衝撃的なライヴだった((その時のポスト)。還暦越えにも関わらず、チョイ悪どころか、かなりワイルドなロック・スターの風情。あれで強かにショックを受けて以来、リックの新作アルバムは積極的にチェックしてきた。で、年明け早々、密かにドロップされていたこのアルバム。ほぼ同発で日本盤が出ていたことなんて、まったく知らなかったよ…

で、速攻でゲットしてぶっ飛んだ。コレは、ズバリ 傑作です! 

リックがジリ貧状態から復活したのが00年代半ばだったが、それ以降の最高作であるだけでなく、カナザワが最もリックに入れ込んだ80年代後半作『TAO』とか『ROCK OF LIFE』でさえ、クリアした感が。その頃は打ち込みサウンド云々というより、当時の最先端のヒット・スタイルを颯爽と取り入れて自己流に提示する、そのスタンスがカッコ良く見えた。それに比べると、<Jesse’s Girl>とか<Don't Talk To Strangers>などのヒットが出始めた頃は、「ちょっと無理して作ってるな」感があった。長く辛酸を舐めてきた人なので、勝負を賭けたのは良く分かったが…。

約2年ぶりとなる今回のニュー・アルバムも、ベースはもちろんスッキリ気持ちの良いアメリカン・ロック(OZ出身だけど)。ちょっと大陸っぽいR&B寄りのロックで、分かりやすく例えると、ブルース・スプリングスティーンとトム・ペティ、ボブ・シーガー、80年代のジョン・メレンキャンプあたりを掛け合わせたような音…。でもメロディは少しだけポップで、彼らが以前演っていたものの歳を重ねてからは演らなくなった、そんな音を迷うコトなく真っ直ぐにプレイしている。

随所にスライド・ギターやオルガン、マンドリン、ドブロ、ブズーキにフィドル、ハーモニカ、といった楽器が出てきて、なるほどカントリー風の音作りが覗けるけれど、アレンジの色付けがそうなっているだけで、楽曲自体はポップ・ロック路線を堅守。この辺りが近年の米ポップ・シーンの傾向を反映させた部分だろう。前作でもその傾向が表れていたが、バランス感の良さ、迷いの無さは、今回の方が遥かに上だ。そうかと思うと、ジミ・ヘンドリックスか、レニー・クラヴィッツか?というブルージーなロック・チューンもあったりで…。全編で活躍するギターは、往年の名コンビ:ティム・ピアーズでありました。

ジリ貧状態から復活し、近年になって好盤を連発している米ロック勢というと、まずチープ・チリックを思い出す。彼らに比べれば、リック・スプリングフィーリド復活劇のスケール感など、まだまだ小さい。けれど、音楽性や見せ方を変化させたトコロで、なおかつ全盛期以上のパッションを感じさせる点に於いて、彼はまさに一線級。その名前に少しでもココロが疼く人なら、一度チェックして損はない。