wild cherry

この3月21日は、和製ポップス方面がナイアガラ関連で盛り上がっているが、洋楽方面はディスコ再始動。『ALL THAT DISCO 100』(6枚組)や『LET'S DISCO』(3枚組)といった大型コンピが同時発売され、ソニーからは【DISCO FEVER】なるディスコ・カタログの廉価再発第1弾50枚がリイシューされた。カナザワも音楽的なところを数枚書かせて戴いたが、ひとまずそこから、このアルバムをご紹介。和モノの sparkling☆cherry じゃあ〜、ねぇーぞ

「ヘイ、そこの白い兄サンたち、ファンキーなのを演れよ!」

ピッツバーグ界隈のクラブで酔客相手に演奏していた4人組の白人ロック・バンドは、黒人の客たちから、しばしばそういう要求を受けていた。それに応えて生まれたのが、ワイルド・チェリー<Play That Funky Music>である。彼らは元々オハイオ州クリーヴランドを拠点とし、グランド・ファンク・レイルロードのマネージャーとして成功した元シンガー:テリー・ナイトのプロデュースで72年にデビュー。しかしその時は完全に不発で、当時はヴォーカルとギター/作曲を担当するロバート・パリッシを中心に新体制で復活を目指していた。

<Play That Funky Music>は76年9月に3週連続全米No.1となり、今ではすっかりポップ/ディスコ・クラシックとして定着している。ロクサーヌ(88年)、ヴァニラ・アイス(90年/全米4位)など、カヴァー及びサンプリング需要も少なくない。もっともバンド自体は二の矢が継げず、3枚のアルバムを発表したのち、79年に活動停止。そのうち最終作となったマッスル・ショールズ録音盤『ONLY THE WILD SURVIVE』は、タイトル通りの続編曲<Keep On Playin’ That Funky Music>が収録され、スルーするには惜しい好盤になっていた。

常に<Play That Funky Music>の一発屋的イメージで語られてしまう本作だが、パリッシがウィルソン・ピケットのカヴァー <99 1/2>で黒人シャウターばりの歌いっぷりを披露したり、マーサ&ザ・ヴァンデラスの<Nowhere To Run>、初期コモドアーズのパーティ・チューン<I Feel Sanctified>など、興味をそそられるカヴァー曲がふんだん。特に後者はリフがそのまま<Play That Funky Music>で、なるほどこのノリは、もうワイルド・チェリーの体質なのだと実感させられる。残り5曲はパリッシュのオリジナルだが、やはり<Play That Funky Music>タイプの楽曲がいくつかあって、思わずニンマリ。実直なのか、これしかできないのかは微妙ながら、自分はこういう不器用なバンド、結構愛してしまうんだな… もちろん<Play That Funky Music>の破壊力の凄まじさは言うに及ばず。

あぁ、オレもこんな真っ赤な唇に弄ばれたいッ