esther williams

【DISCO FEVER 40】と銘打たれたソニー・ミュージックのディスコ・カタログ廉価再発シリーズから、カナザワのライナー担当作をもう1枚。DJ人気の高いエスター・ウィリアムスの81年作を紹介しよう。今回は6作書かせてもらったが、ここ2日で紹介したワイルド・チェリー、リッチー・ファミリーの他は、アース・ウインド&ファイアーにシェリル・リン、ジョージ・デュークなど定番多数。このエスター嬢が一番マニアックな存在となった。

本作のヒロイン:エスター・ウィリアムスは、ワシントンD.C.出身の歌姫。R&Bやゴスペルはもちろんジャズにルーツの一端があるらしく、地元クラブではジャズ・スタンダードやスウィング系、バラードを好んで歌っていたらしい。75年にニューヨーク出身のラテン・ディスコ・バンド:エディー・ドレノン & B.B.S.アンリミテッドに加入。このドレノンがジョー・バナというプロデューサーが興したフレンズ&Co.なるレーベルと契約を交わし、シングル<ラテン・ハッスル(Let's Do The Latin Hustle)>がヒットした。そして華やかさのあるエスターは、ソロ・シンガーとしてもデビュー。この時作られたのが1stアルバムにしてガラージ名作となった『LET ME SHOW YOU』である。レア・グルーヴ定番曲<Last Night Changed It All>も、そのアルバム収録曲であった。

この『INSIDE OF ME』は、エスターの通算3作目にして、唯一のメジャー・アルバム。プロデュースにはデビュー以来のジョー・バナとボブ・カリントンが当たっているが、実際に現場を掌握していたのは、ウィリー・レスター&ロドニー・ブラウンのコンビ、元ラヴ・コミッティーで本作後にテンプテーションズに加入するロン・タイソンら。とりわけレスター&ブラウンは、ダンス・ミュージック・レーベルとして名高いプレリュードで多くの作品に関与したワシントンD.C.きってのクリエイター・チームで、モデュレイションズを筆頭にボビー・サーストン、ステファニー・ミルズ、シャロン・レッド、アル・ジョンソン、そしてイヴリン・シャンペーン・キングなどに、ソウル〜R&Bファン垂涎の名作・名曲を送り出してきた。彼らが書いたリード・トラック<I'll Be Your Pleasure>は、パラダイス・ガレージを仕切った伝説的DJ:ラリー・レヴァンがリミックスしている。

本作後はソロ.アルバムから遠ざかったエスターながら、地元でジャズ・シンガーとして歌い続け、ゴスペル・クワイアを率いたりもしていたようだ。ちょっとハスキーで程よい粗さを宿した歌声は、結構いそうでいない個性かもしれない。まさにモダン・ダンサーの人知れぬ傑作。