shigeru suzuki_caution

鈴木茂の3作目『CAUTION!』(78年)が、本人リミックスで再発された。まずその音の良さ、ヴェールを剥がしたようにスッキリした耳馴染みの良い音にビックリ。鈴木茂を聴こうと思うと、どうしても『BAND WAGON』や『LAGOON』に手が伸びてしまうので、記憶の中にある音が少し古臭くなっていたのかもしれない。

『BAND WAGON』が当時の西海岸ロック、『LAGOON』がジャズやボサノヴァを取り入れたCTI流儀のリゾート・サウンドだったのに対し、コレはズバリ、ポップ・アルバム。ギタリストとしては極めてストイックな作品で、むしろヴォーカル・アルバムとして成立している。でも彼の歌唱力には限界があり、それを補うために曲作りで個性を出そうとしたらしい。なるほど、志向はまさにジョージ・ハリスン。声域の狭さや声質の繊細さというデメリットを生かし、逆に自分らしさを捻出したのだ。

自分のお気に入りは当然<レイニー・ステーション>。これは松本隆の映画みたいな詞が素晴らしい。演奏はキャラメル・ママ〜ティン・パン・アレーの面々。コーラスはオフ・コースだそうだ。メロウ・ミディアムの<サマー・ワイン>、松任谷正隆のピアノとバズのコーラスが印象的な<ジュリエット>、ブラジリアン・テイストでラジのハーモニーにグッとくる<サテン・ドール>も美味で。

しかし、今回初お目見えの未発表曲<涙の糸と銀の針>にビックリ。デュエット曲で、そのパートナーは尾崎亜美である。何故コレが発表時に外されたのかは、茂さん本人も定かじゃないようだが、あるインタビューでは、「自分はロック・ミュージシャンという思いがあって、デュエットまで入れるということに抵抗があったんじゃないか」と述懐している。確かにポップ。でもヴォーカルもしっかりダブル・トラックになっているし、それなりに力の入った作り。この曲が世に出て良かった。

後半はアルバム1枚分のバッキング・トラック、いわゆるカラオケを収録。今まで軽く見ていたアルバムだけど、ココでしっかり再評価しなくては、だな。