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大人気のミュージカル・スターでシンガー・ソングライター、実は20年来の旧友でもある石井一孝のライヴ@赤坂・草月ホール。彼のライヴは既に何度も足を運んでいるが、今回はミュージカル色濃いめの内容で、その手は門外漢のカナザワは「ふ〜ん…」といった感じ。しかしラテン気質でキャラが濃ゆい石井には、まさに天職。オリジナルを書いても、何処となくクイーン色(ってかフレディ・テイストね)が滲んじゃうんだよなー、ってコトを再確認して、一緒に観た知り合いたちと一杯。程良い時間に帰宅して、缶ビールを飲みながら、ソニーの廉価再発シリーズ【DISCO FEVER】でリイシューされたダン・ハートマン、日本初CD化の2枚を手に取った。もっともカナザワの手持ちは輸入盤だけど…

リック・デリンジャーやロニー・モントローズと共にエドガー・ウィンター・グループを影から支えたダン・ハートマンは、バンド解散後にソロ活動をスタート。78年に2ndソロ『INSTRANT REPLAY』、続いて翌79年に『RELIGHT MY FIRE』をリリースし、それぞれヒットに結び付けている。ちょうど『SATURDAY NIGHT FEVER』のブレイクで大ディスコ・ブームが沸き起こっている時の作品で、狙いも完全にディスコ・ユース。けれどもダンは、ギター、ベース、鍵盤の演奏から作編曲、エンジニアリング、そしてプロデュースまで一人でこなす、トッド・ラングレン張りのマルチ・プレイヤーなので、多少のあざとさを孕みつつも、世に氾濫したヒット狙いの安っぽいディスコ企画とは一線を画していた。

『INSTRANT REPLAY』のタイトル曲は、全米ダンス・チャート首位/全米29位のヒットになっただけでなく、UKやオースチラリアではトップ10入り。90年代にもカヴァー・ヴァージョンが全英トップ10入りするなど、半ばクラシック化している。更にUKでは、3rdシングル<This Is It>もトップ20入りしたそうだ。硬いピアノのリフで始まる<Countdown / This Is It>は、シルヴェッティ<Spring Rain>の歌モノ的展開。サックスは盟友エドガー・ウィンターがブロウしている。ホール&オーツのサポートで知られるG.E.スミス、後にキッスに加入して名を上げるヴィニー・ヴィンセントが本名ヴィニー・クサノで参加。ミックスがトム・モールトンというのも、ディスコ・アルバムとしては重要なポイントだろう。個人的には、ボズ・スキャッグスを意識したかのような<Love Is a Natural>のアーバンな手管に魅せられる。流麗なストリングス使いは、如何にもディスコしてますが…

そうしたアタリ路線を まんま継承した『RELIGHT MY FIRE』は、当然のこと連続ヒットを記録。ロレッタ・ハロウェイのド迫力ヴォーカルにヤラレるタイトル曲は、フィリー・ソウル系のノーマン・ハリスがアレンジしたのがミソか。今ではガラージ・クラシックとして定番化し、英国では93年にテイク・ザットがカヴァーしてNo.1ヒットに仕立てた。また<Free Ride>は、ダンがエドガー・ウィンター・グループ時代に書き、73年に全米14位にしたヒット曲のディスコ版セルフ・リメイク。当時からグループの人気曲で、悪かろうはずがない。またシングル曲<Hands Down>には、再びエドガーがサックスで、そしてスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参戦。大きな聴きモノになっている。ちなみにミックスは、後にヘヴィ・メタ方面で名を上げるマイケル・バルビエロと、当時のディスコ・シーンで人気を博したジョン・ルオンゴのコンビだ。

この後ダンは、アヴェレージ・ホワイト・バンドやジェイムス・ブラウンをプロデュースしたり、ソロとして<I Can Dream About You(あなたを夢見て)>を全米6位の大ヒット(84年)にしたものの、動き自体は散発的で、やがてニュー・エイジ方面へ。かと思ったら、94年に43歳で早すぎる死を迎えてしまった。それでもこの2枚があれば、ダンス・ポップ・クリエイターとしてのダンの名は、きっと忘れられることはないだろう。