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ファースト・アルバム『WEST END COAST』が大好評を得たヤング・ガン・シルヴァー・フォックス(以下YGSF)、待望の2枚目が発売になった。タイトルは『AM WAVES』。輸入盤はママズ・ガンの中心人物でもあるアンディ・プラッツと、人気プロデューサーであるショーン・リーという、メンバー2人のモノクロ・フォト。しかし日本では、前作のアートワークを引き継いだパーム・ツリーのものに差し替えられた。ま、クソださいオビはないけれど、コレで正解でしょう。

実際その音も、前作の延長線上にあり…。つまり70〜80年代の米国産ウエストコースト・サウンドを今様にアップデイトした感じ。日本でいえばAOR、最近の欧米では “ヨット・ロック”と表現されるスタイルである。具体的にはボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、クリストファー・クロス、マイケル・マクドナルド/ドゥービー・ブラザーズ、ケニー・ロギンズあたり。前作発売時のインタビューでは、ホール&オーツやアメリカ、フリートウッド・マック、エアプレイやビル・チャンプリン、アンブロージア、ネッド・ドヒニー、ニコレット・ラーソンなどの名前が挙がっていた。本作収録曲<Underdog>に参加しているホーン・セクションも、シーウインドならぬシーウィード・ホーンズ。ケニーやマイケル・マクドを引っ張り出したサンダーキャットもそうだけれど、ホント、思わず吹き出しそうになっちゃうセンスしてる

そうそう、ちょうど今年2月初めに来日したママズ・ガンを見たが、そこで再確認したのは、フロント・マンたるアンディ・プラッツの際立った実力だった。他のメンバーは良くも悪くもインディ・バンドらしさを宿してて、アンディのパフォーマンスだけ明らかにレヴェルが違って見える。良いバンドだと思うけど、アンディはママズ・ガンだけじゃストレスが溜まるだろう。彼にとってYGSFとは、重責を負わずにショーンとの阿吽の呼吸で音楽的ポテンシャルを高めることができる、自己実現のために必要なユニットなのだ。

先行シングルでアルバム冒頭の<Midnight In Richmond>は、アコースティック・ギターが効いたフリートウッド・マック風の楽曲で、彼らにとっては未知のコード進行を使ったチャレンジングな楽曲とか。またレニー・クラヴィッツにまつわる夢を歌った<Lenny>、短時間で書き上げた真性ポップ・ソング<Take It or Leave It>、トッド・ラングレンとホール&オーツが束になったような<Mojo Rising>、ポール・マッカートニーを髣髴させる<Caroline>、タイトル通りのダンス・チューン<Kingston Boogie>など、前作以上に魅力的な楽曲が多数並ぶ。ラストの<Lorita>は、アンディとショーンが初めて共作したもので、実は前作用に録音してあったもの。

ふとSpecial Thanks欄に目を遣れば、レヴェル42やアンドレ・シモーン(プリンス&ザ・リヴォリューションのベース奏者/プロデューサー)と並んで、ボビー・コールドウェルとユニット:クール・アンクルを組んでいるジャック・スプラッシュに謝辞が贈られている。ジャックはショーンと同様に人気プロデューサーで、グラミー・ウィナーでもある。おそらくアンディとショーンは、彼に大いに触発されるトコロがあったのだろう。

前作を聴いて気に入った方は言うまでもなく、最近AORやシティポップ、あるいはヨット・ロックなるモノが気に掛かっている、なんて人は是非。ライナーも書かせて戴いてます。ちなみにタワー・レコード限定盤はボーナス2曲付き。