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怒涛のゴールデン・ウィーク進行もひとまず大きな山を越え、休み明けの締切を残すだけになって、このブログなど書き進めているワケですが…。その山の原因となったのが、今月15日売りのレコードコレクターズ6月号の特集記事『セッション・ギタリストの名手たち』。ココでもご紹介したダニー・コーチマーの新作『HONEY DON'T LEAVE L.A.』発表とその来日公演にちなんで、70年代アメリカのセッション・ギタリストたちに光を当てるという、保存版とすべき大特集だ。その特集中核を成すギタリスト名鑑に、最初の人選の段階からカナザワが参加することになった。これは大きなプレッシャーが掛かる仕事である。

例えば、70年代という条件があるので、AOR系ではグレイドンやルカサーが入っても、マイケル・ランドウは対象外。ロベン・フォードも、L.A.Express関連の仕事を除くと70年代のスタジオ・セッションが極端に少ないのでオミット(変更なければ)。基本的に、歌モノ・セッションが多い人という選考基準があり、お友達セッションだけの人は外している。カナザワの感覚では、日本で言えとインペグ屋に登録されてるギタリストが対象、というか。もちろんカナザワの不得手な分野も範疇に入っているので、リスト上では詳しく知らないギタリストも入っている。まぁ、その選考結果については、ひとまず15日のレココレ発売を待っていただくとして…。

でもこの手のランキングや名鑑系特集は、掲載ラインナップ決定までに紆余曲折があるのが常だし、それが決まったあとも、今度は誰をどのライターさんに執筆依頼するかで編集サイドの読みや駆け引きが続く。それぞれ得意分野が違うし、評価軸も異なるからだ。今回も掲載ギタリストについて常連筆者さんたちに執筆希望を募ったところ、一部のギター弾きに希望が集中したとか。結局、必殺仕事人みたいなマイナー処は自分が引き受けるを得ず、担当レビューも結構な数に。しかも書き手がいないプレイヤーは自ずと資料も乏しく、ある意味ライナーを一本書くより大変かも、という作業になった。

でもその分発見も多く、勉強になったのも確か。例えば、ダニー・リークというシカゴ出身のギタリストが別の顔を持ち、エンジニア/リミキサーとして英ダンス・シーンで成功したのは知っていたけど、まさかレア・グルーヴ方面で発掘された幻の100%ピュア・ポイズンの中心人物だったとは思わなかった、とか。逆にポール・ジャクソンJr.は、僕ら世代には “カッティングの名手”として登場した感があるが、ソロ作を出すようになったスムーズ・ジャズ世代のファンだと、彼をリード・ギタリストとして見ていて「リズムは大して…」なんて評価にビックリさせられ…。

そこで今日は、改めてディスコ・ユニットのシャンソン。マイケル・ジャクソン『OFF THE WALL』のダンス・チューンで、シャカシャカと薄っぺらい音で小気味良くリズム・ギターを刻んでいたデヴィッド・ウィリアムスが、モータウン初期を支えた伝説のベースマン:ジェイムス・ジェマーソンの息子ジェイムス・ジェマーソンJr.と組んだスタジオ・ユニットであります。

ウィリアムスは18歳でザ・デルズのバックに就くなど早くから活躍の萌芽を見せたが、ベトナム従軍でキャリアを中断。帰還後の77年頃からLAでセッションを始め、ブラザーズ・ジョンソン、マージー・ジョセフ、レン・ウッズらのアルバムに参加。そして『OFF THE WALL』での名演と、その後のジャクソンズ『TRIUMPH』ツアーに参加し、脚光を浴びた。そのウィリアムスが、78〜79年に発表したのがシャンソンとしての2作である。

L.A.の売れっ子ミュージシャンだけあり、参加メンバーはジェフ・ポーカロ/ハーヴィー・メイソン(ds)、デヴィッド・ペイチ/スティーヴ・ポーカロ(kyd)、オリー・ブラウン(perc)、アル・マッケイ(g)、リンダ・エヴァンス/ウォーターズ(vo)など納得の布陣。でも演っているのは、完全にディスコ。ブラック・コンテンポラリーというよりも、ホントにディスコの企画モノっぽい装いなのだ。おそらく発想の源は、シックの成功だろう。推察だが、カッティングを得意とするウィリアムスがナイル・ロジャースに嫉妬を抱き、相方にジェマーソンJr.を誘って、俄かチームを組んだのでは? 相手にベース・プレイヤーを選び、ユニット名のフランス由来の名をつける。これは “単なる偶然” とは申し開きできません!って

とはいえ俊英セッション・ミュージシャンの作り手だから、プレイはさりげなく手が込んでいてゴージャス。シック以上に派手なストリングス使いもあって、そこはバリー・ホワイトの影響が強いのかな? ソロ作もあるリンダ・エヴァンスが歌う楽曲もあるが、2人が意外に歌えるのに驚く。ディスコ色が強いので、音楽的には積極的にオススメできるタマではないけれど、セッション・ミュージシャンをフォローしていく括りなら、シャンソンはアリ。カッティングというば、アル・マッケイとかレイ・パーカーJr.が真っ先に登場するけれど、デヴィッド・ウィリアムスも忘れて欲しくない。83年、91年にリーダー・アルバムを出すも、09年に心不全により58歳で急逝。

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