basia

順番が逆になったが、マイケル・フランクスより1週早い5月16日に我が【Light Mellow Searches】からリリースされるのは、何とバーシア、こちらも9年ぶりとなるニュー・アルバム『BUTTERFLIES』。最近シャーデーがサントラ絡みで新曲を出したり、スウィング・アウト・シスターも新作・来日が控えているなど、この辺りのオシャレ系英欧勢のリリースが相次いでいる。【Light Mellow Searches】でも昨年からワークシャイ、ブロウ・モンキーズの最新アルバムを相次いで出しているので、ちょっと意外に思っている人もいるのでは? まぁ、監修者がオサレなので、当然っちゃー当然なのだが…(←自爆

東欧ポーランド生まれのバーシアは、プロフィール的には、もう60歳代も半ばに差し掛かっているはず。なのにヴォーカルの新鮮さ、瑞々しさは若い頃と比べて何の遜色もない。そりゃー注意深く聴けば、キーの高さや声の張りは若い頃と違ってきてると思うが、歌声そのものは相変わらず伸びやか。女性として、あるいはヒトとして人生経験を積んだからこそ歌えるようになった楽曲だってあるだろう。

前作『IT’S THAT GIRL AGAIN』は、再編マット・ビアンコから10年ぶり、オリジナル・ソロ作では実に14年ぶりの作品だった。そのカムバックの喜びを素直に表現した点に好感が持てたが、少々肩に力が入ってしまった面もアリ…。でも今回の新作『BUTTERFLIES』は、相方ダニー・ホワイト、ダニーの兄ピーター・ホワイト(g)、ブルーイのブレーンでもあるリチャード・ブルなど、ほぼ同じ布陣なのに、自然体のバーシア、初期サウンドが よりストレートに帰ってきた感じがする。オープニング<Bubble>から、ご機嫌なジャジー・ホップ・チューンでスタートするが、軽い作りのようで、バーシア得意の多重コーラスは緻密。十八番のスキャットには、思わずニヤリとさせられる。

16年末に逝ったマーク・フィッシャーへのトリビュートもあるだろう、<Show Time>は現在ひとりでマット・ビアンコを背負って立つマーク・ライリーとデュエット。作曲はダニーを含む3人でペンを重ねた。マット・ビアンコも新作『GRAVITY』でジャズ色を強く打ち出し、生バンド指向を濃くしたが、本作との符合は偶然でないと思う。本作一番のグルーヴ・チューン<Be Bop>は、そのままドクター・バザーズ&オリジナル・サヴァンナ・バンドの再来のようで、マット・ビアンコ時代からの普遍的魅力をアピールしている。

ジャズとラテンのミクスチャーに、欧州ならではの洒脱なフェイク感覚をまぶした、バーシア流儀の極上ポップス。かつてのハジけた感じは、オトナの落ち着いた表現に変わったものの、一方で清新なバーシアらしさが帰ってきた。“これが今の彼女”と断言できる会心作だ。あとは再来日を待つのみ、である。