lamont dozier 018

米国の至宝たるソングライターで、全盛期のモータウンを支えた ホーランド=ドジャー=ホーランドの一角であるラモント・ドジャー、久々のニュー・アルバム『REIMAGINATION』が登場した。プロデュースがフレッド・モーリンということで、きっとジックリ付き合えるオーガニック・スタイルのセルフ・カヴァー集では?と想像してたら、案の定そのようで。でもそれは否定的な意味ではなく、滅法ポジティヴ。実はラモントのセルフ・カヴァー集は初めてでなく、02年にも『REFLECTIONS OF LAMONT DOZIER』(16年にリマスターされた)を出しているが、楽曲そのものの魅力をシッカリ味わいたいなら、絶対コチラをオススメする。

フレッド・モーリンといえば、マシュー・マッコーリーとのコンビで、ダン・ヒルやジミー・ウェッブ、アメリカ、ランディ・エデルマンらをプロデュースしてきた人だが、90年代後半頃から親しいジミー・ウェッブを皮切りに、バリー・マンやJ.D.サウザーのセルフ・カヴァー集を作ってきた。しかも手法は一貫していて、ピアノやアコギの弾き語りだったり、そこにシンプルなリズム隊が付くという、ネイキッドな作品ばかり。取り上げるのが既によく知られた名曲だから、余計な手を加えず、ただひたすらに楽曲にフォーカスする。確かに電波に乗ると地味に聴こえるけれど、ジックリとグラスでも傾けながら聴いてると、ジワンジワン滲みてくる、そういう作りなのだ。このラモントの新しいセルフ・カヴァー集も、まさにその流れにある。

収録曲は、ホーランド=ドジャー=ホーランド楽曲でヒットを連発したシュープリームスやフォー・トップス、マーサ&ザ・ヴァンデラスなどのレパートリーが中心。マーヴィン・ゲイが歌った<How Sweet It is>や<Little Darlin>、アイズレー・ブラザーズが歌った<This Old Heart>も取り上げている。アコギにドブロで泥臭く仕上げた<Take Me In Your Arms>は、オリジナルのキム・ウェストンやアイズレーというより、ドゥービー・ブラザーズのカヴァーを意識したのかな? 

ザッと流し聴いて特に耳に残ったのは、まずフォー・トップスの当たり曲<Reach Out, I'll Be There>。バラードで始まり、大ゴスペル大会でダイナミックに燃え上がる。シュープリームスに書いた<You Keep Me Hungin' On>は、ヴァニラ・ファッジやロッド・スチュアート、キム・ワイルドなど多くのカヴァーを生んだが、ここではルーマーを迎え、穏やかに味わい深く。そういえばこのアルバム、ゲストが華やかで、グレアム・ナッシュ、サー・クリフ・リチャード、トッド・ラングレン、マーク・コーンといった大御所/ベテランから、新鋭グレゴリー・ポーター、フレッドが手掛ける新人女性シンガー:ジョー・ハーマンまで、幅広いキャスティングが見事。実はコレもフレッドの常套手段だ。

ブックレットには本人が語った丁寧な楽曲解説がついていて、<Where Did Our Love Go>がマーヴェレッツにもフォー・トップスにも断られてイヤイヤ歌ったシュープリームスで大ヒットしたとか、 <Stop In The Name Of Love>はラモント自身の不倫現場だったとか、フォー・トップのヒット<Bernadette>のヒロインはラモントが10代の頃に好きだったイタリア人の女の子とか…、そんな興味深いエピソードが赤裸々になる。

オリジナル楽曲のアレンジは、とにかくポップに仕上げられていたが、こうしてシンプルなアレンジで聴くと、本当に味わいのある楽曲ばかり。ふと今のポップ・ヒットをアンプラグドにしたら、鑑賞に耐えうるモノになるのか?と、空しい気持ちになってしまった。やっぱり、ポップスが分業で作られていた頃の職業作家の作品には、秘められたエナジーやエモーション、そしてドラマがあります。


1. SUPREMES MEDLEY
 Where Did Our Love Go 〜 Stop In The Name Of Love 〜 Come See About Me 〜 Baby Love
2. HOW SWEET IT IS
3. REACH OUT, I'LL BE THERE
4. BABY I NEED YOUR LOVING
5. BERNADETTE
6. THIS OLD HEART OF MINE/MY WORLD IS EMPTY WITHOUT YOU
7. HEAT WAVE/NOWHERE TO RUN
8. IN MY LONELY ROOM
9. TAKE ME IN YOUR ARMS (ROCK ME A LITTLE WHILE)
10. YOU KEEP ME HANGING ON
11. REFLECTIONS
12. I CAN'T HELP MYSELF
13. LITTLE DARLING (I NEED YOU) / GIVE ME JUST A LITTLE MORE TIME
14. REACH OUT, I'LL BE THERE