reggie lucas

この日、朝一番に飛び込んできたのは、ギタリスト/プロデューサーであるレジー・ルーカスの訃報。心臓疾患のためマンハッタンの病院に入院。ドナーを待ちながら生命維持装置で生き長らえていたが、19日に亡くなった。享年65歳。最新レコード・コレクターズ6月号の特集『セッション・ギタリストの名手たち』の名鑑にも、シッカリ掲載されていた。

既にアチコチで訃報が掲載されているけれど、大きく取り上げられるのは、おおよそ3つの大仕事。その最初は、72〜76年までのマイルス・デイヴィス・グループへの参加だ。当時のマイルスの主なメンバーはジェームス・エムトゥーメイ(perc)、ピート・コージー(g)、マイケル・ヘンダーソン(b)、アル・フォスター(ds)ら。フリーキーなギターを弾くコージーに対して、レジーはコード・ワークで強固にグルーヴを固め、その名を知らしめた。75年2月の大阪公演は、ライヴ盤『AGARTHA』と『PANGAEA』としてリリースされ、前者はこの時期のマイルスの代表的ライヴ盤とされる。

ここでエムトゥーメイとコンビが本格化し、R&Bフィールドへ進出。まずはロバータ・フラックのバンドに参加して、2人でダニー・ハザウェイとの名デュエット<The Closer I Get To You>を書き、注目を浴びた。更にファンク・グループ;エムトゥーメイを立ち上げ、アース・ウインド&ファイアーやP-ファンク勢の影響を表出させた大型ファンクを打ち出し。並行してプロデュース・ワークにも進出し、ステファニー・ミルズ、フィリス・ハイマン、リーナ・スコット、ルー・ロウルズ、サックスのゲイリー・バーツ、スピナーズ、新人マーク・サダーンなどを手掛けた。81年頃にジェイムス・エムトゥーメイと袂を分かち、サンファイアを結成。82年に出したワン&オンリー作は、R&B〜ファンク/ブラック・コンテンポラリー方面で人気が高い。この辺りのタームが2つ目の大仕事と言える。

そして結果的に最後の大仕事となってしまったのが、83年のマドンナ、デビュー作の単独プロデュース。それまでやサンファイアとは異なり、打ち込み中心のポップ・ディスコ路線で売り出した。言って見れば、タワサの官能ヴォーカルを看板にストイックなスロウ・ファンクを打ち出したエムトゥーメイとは真逆の方向に進んだワケで、黒人音楽ファンにはネガティヴな反応を生んだものの、その声はディスコでのブレイクやポップ・シーンでの成功に掻き消されてしまった。その後ランディ・クロフォードやレビー・ジャクソンを手掛けるも大してヒットせず…。

今回の訃報で、その辺りが多くアップされていれているので、当ブログでは、レジーの75年のワン&オンリーとなったリーダー作『SURVIVAL THEMES』を紹介しておこう。マイルス・グループでの活躍を受けて、日本のジャズ・レーベル:East Windが制作したジャズ・ファンク系インスト作で、海外ではインナー・シティが配給した。メンバーもエムトゥーメイのほか、マイケル・ヘンダーソン/アンソニー・ジャクソン(b)、ヒューバート・イーヴス(kyd)、ハワード・キング(ds)などで、のちのエムトゥーメイ勢が多数。収録曲はレジーがノーマン・コナースに提供したグルーヴィーなジャズ・ファンク・チューン<Slewfoot>を皮切りに、楽曲によってはかなりスピリチュアルな展開になる。後半はアルバム・タイトルにも掲げられた20分超の組曲で、4つのパートで構成。

そう書くと、かなり難しい作品なのか?と思われそうだが、万人向けのポップ・フュージョンやスムーズ・ジャズではないもの、70's クロスオーヴァー志向が強まる今なら、それなりに面白く聴けるはず。カッティングのイメージが強いレジーのリード・プレイをたっぷり聴くことができる点でも、興味深い作品だ。…にしても、まだ死出の旅につくには早すぎた。

Rest in Peace...