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タワー・オブ・パワーの結成50周年アルバムにして、約15年ぶりのオリジナル新作。90年代はメジャーのエピックに籍を置いたこともあってコンスタントにアルバムを出していたが、その後はライヴ盤やカヴァー・アルバムが続き、純新作としては03年作『OAKLAND ZONE』以来となる。

そしてその内容も、周年にふさわしい力感溢れる好作。長年リード・ヴォーカルを張っていたラリー・ブラッグスがテンプテーションズに移籍したため、オーディションで選んだマーカス・スコットが現在ヴォーカリストの座に就いた。その間を繋いだレイ・グリーンの在籍は2年に止まり、現在はサンタナのシンガーを務めている。09年に加入したギターのジェリー・コルテス、11年加入のトランペット奏者サル・クラッキオーロも新参。

でもそんなコトはどうでも良い。問題なのは「あれっ、何か変わった…?」と思わせられる点である。これまでのTOPとは違って耳馴染みの良い楽曲が多いが、それすなわち、TOPらしいクセの部分が薄まった、という気がする。

例えば “宇宙一のファンク・バンド” と崇められつつ、一部に “踊れないファンク・バンド” というレッテルを貼られたりする。“踊れない” というのは、本当に踊れないワケではなく、ロッコ・プレスティアとデヴィッド・ガリバルディによるリズムのシンコペイションが細かすぎて、ダンスしにくいということ。それが今回は、いつもより多めに踊れちゃう… コンテンポラリー化したというか、少しだけ万人向きのアプローチに変わった気がするのだ。TOPファンの友人は、「今回はロッコに元気がない」と言っていたが、それは好不調というより、リズム・アプローチが変化したのでは? そこでクローズ・アップされるのが、エミリオ・カスティーヨと共同プロデュースに当たっているジョー・ヴァネリの存在。もちろん かのジノ・ヴァネリの兄で、全盛期のジノを陰で支えた人である。もしかして彼が関わることで、TOPサウンドに変化の兆しが現れたのでは?…なんて思っているのはカナザワだけ?

従来のTOPらしさが薄らいだ、という意味では、熱狂的ファンの間でも是非が割れるかもしれない。でも変化を恐れていては、バンドの進化はままならないもの。そこでこのアルバムなのだろう。TOPは好きだけど、過剰な強い思い入れは抱いていないカナザワなので、聴きやすさが前面に来たコレは結構スキかも。