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オォ、これは嬉しい〜 でも正直なところ、ちょっと素直には喜べないな。既に2度も紙ジャケになって、そのうち05年盤はジェイ・グレイドンによるリマスター。最近では【AOR City】で1000円廉価盤も出た。でも今回はSACDハイブリッド盤/アナログ盤同発で、ハイレゾ配信もやるそう。ハイブリッド盤ジャケは7インチ(アナログ・シングル・サイズ)の紙ジャケット仕様だそうだから、ある意味 究極の商品ラインナップである。なのに、何故またしてもリマスター? 「次はリミックス」というのは、 ジェイ自身が一番望んでいたはずだし、そういう流れなのは日本スタッフも承知していたと思うけれど…。
ぶっちゃけ、担当ディレクター氏も想像がつく。以前からエアプレイ復刻を何度も手掛け、カナザワもよく一緒に仕事をしてきた、とても信頼できるA&Rマンの方だろう。その人をして、リミックスに手が届かないということは…? もしかしてそれなりの理由、マルチ・マスターのトラブル(廃棄、劣化、行方不明)があるのかもしれない。もっともジェイの場合、多額のギャランティを吹っかけて制作コスト的にアウト、なんてコトもあり得る。ミュージシャンとしての才能はハンパないけど、性格的には子供じみたトコロの多い人だからね。

もちろん、前回マスタリングから13年が経っているので、オーディオ技術は向上しているはず。再度のリマスタリングでも、それなりのクオリティ・アップは期待できる。でも所詮、 2chミックスのマスターで低音が痩せていたら、自ずと限界はある。それに周年記念でも何でもない、つまり絶対的締切なんてない(社内事情はともかく)のに、半ば見切ったようにハイレゾ、アナログを出しちゃう、ってコトは、もうその先はないのでは? 何らかの事情でマルチが使えないんじゃないの?、と勘ぐってしまうワケだ。

ハイレゾに関しても、個人的にはあまり必要性を感じない。クラシックやジャズのように原音再生を是とするジャンルなら良いが、エフェクターやEQで音を歪ませたりダンゴにしているロック系の音楽にとって、ハイレゾは無用の長物といえる。それは、かの山下達郎さんも言っていること。オーディオ好きには面白いだろうけど、一般リスナー向けではない。ユーザー側からのニーズで生まれたものではなく、メーカー及び技術者主導で生まれたシステムだから、音的には優れていてもあまり普及しない。単純な話である。

アナログ盤は、当時の皿と比較してどちらが良いか、これは微妙。リマスターしている分、新規マスターの音は良くなっていると思うが、カッティング技術はまだ当時の方が上とされる。これは聴いてみないと分からないが、果たして家のオーディオと自分の爛れた耳で その差が聴き分けられるか、そこも微妙 本来、音質を追求するなら、カラー・レコードも避けるべきなんだけど。

そりゃあ自分だって、エアプレイで人生を変えられたクチだ。19〜20歳の頃、音楽仲間だった角松敏生の家で、まだ輸入盤しか出ていなかったエアプレイを聴かされなけりゃ、今の自分はない。“スリ切れるまで…” は大袈裟だけど、自分の人生でそれほどディープに聴き込んだ、唯一の皿である。だから<Nothing You Can Do About It>のパンチの効いた音や、滝が流れるようなフォスターのシンセのスウィートニングをハイゾレで体験したい、という欲求はある。でもそれだったら、尚更リミックスだろう、と思う。

厳しく言ってしまうと、ボーナス・トラックもヌカ喜びになるのでは?と危惧している。3曲ともジェイが『PAST TO PRESENT -70's』に収めた楽曲だからだ。もしかするとヴァージョン違いかもしれないが、大差はないと思っていた方が良さそう。

ジェイに関して言えば、彼は最近『AIRPLAY FOR THE PLANET』(93年)を出し直した。エアプレイ同様にハイレゾにリマスターしたものを、CDにダウンコンバートしたエディションである。最初はそれをCD-Rにして自主レーベルで売っていたが、最近国内インディが商品化した。作品の内容は素晴らしいけど、これも「またかよ」と思う。その一方でとっくに録音が終わっているはずのJaRは、いつになっても発表されず、ほぼ塩漬け状態。ホントに出す気あるのと疑いの目を向けたくなる、そういうレヴェルだ。そうしたジェイの社会性の欠如が、フォスターとの差を生んだ。音楽的才能やレコーディング・スキルは、絶対ジェイの方が上なのに… アーティストとしてのエゴ、こだわりは理解できるが、度を過ぎれば、ただ厄介なだけである。

それでもやっぱり、『ロマンティック』はAORの金字塔とされるアルバム。オンタイム世代とは違って、クラブ世代のAORファンにはあまり評価されないけれど、AORやシティポップ再評価が著しい今にあって、こういう機会を利用してもらうと、若い世代にも少しは見直されるのではないかな。

ま、こうして難癖つけている自分も、結局買ってしまうことだけは間違いない

【商品情報】
エアプレイ『ロマンティック』
発売日:2018年7月25日
●アナログ盤(完全生産限定盤)
品番:SIJP 69 価格:¥3,800+税
<ポイント>
1. カラー(ブルー)ヴァイナル盤
2. USオリジナルLPを可能な限り再現したジャケット
3. 内袋もUSオリジナルLPを可能な限り再現
4. 日本盤初発売時のLP帯を復刻
5. 日本盤初発売時のライナーノーツ復刻:小倉エージ
6. 日本盤ライナーノーツ:ジェイ・グレイドン&中田利樹、歌詞・対訳付き
●SACDハイブリッド盤(完全生産限定盤)
品番:SICP 10122 価格:¥3,800+税
<ポイント>
1. 高音質のSACDステレオ層とCDステレオ層のハイブリッド・ディスクを採用。通常のCDとしてもお楽しみ頂けます。
2. USオリジナルLPを可能な限り再現した7インチ紙ジャケット仕様(アナログ・シングル・サイズ)
3. 内袋もUSオリジナルLPを可能な限り再現
4. 日本盤初発売時のLP帯を復刻
5. ボーナス・トラック3曲収録
6. 特典:本作からカットされた日本盤シングル・復刻ジャケット2種封入
7. 特別寄稿:角松敏生
8. 日本盤ライナーノーツ:ジェイ・グレイドン&中田利樹、歌詞・対訳付き
●ハイレゾ配信
24bit/96kHzとDSDの二種類のフォーマットで配信
(※初のハイレゾ配信になります。)
【収録曲】
01. ストランデッド
02. クライン・オール・ナイト
03. イット・ウィル・ビー・オールライト
04. 貴方には何も出来ない
05. シュッド・ウィ・キャリー・オン
06. リーヴ・ミー・アローン
07. スウィート・ボディ
08. ビックス
09. 彼女はウェイト・フォー・ミー
10. アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン
11. シュッド・ウィ・キャリー・オン (Demo Version)*
12. 彼女はウェイト・フォー・ミー (Demo Version)*
13. ユー・キャン・カウント・オン・ミー (Demo Version)*
※アナログ盤はSIDE Aが01〜05、SIDE Bが06〜10となります。
*SACDハイブリッド盤のみのボーナス・トラック