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AORレジェンドのマイケル・マクドナルドが昨年9月にリリースしたニュー・アルバム『WIDE OPEN』、いよいよ日本リリース。US発売から10ヶ月遅れての国内リリースには、各方面からお叱りの声もあるだろう。でもこの充実作を日本発売なしで終わらせる方が、よほど嘆かわしいこと。最初は自分で動き始めたものの、ちょっとハードル高そうだなぁ…、と思い始めていたところに思わぬ助け舟があり、こうして形にすることができた。まずは関係者の皆さんに感謝 m(_ _)m

さて、アルバムの内容については、輸入盤をゲットした時のコチラのポストをご参照いただきたいが、基本的にその時の感想は変わっちゃいない。イヤ、変わっちゃいないどころか、最初は地味に感じたトータル・イメージが、今はもっと好転している。“地味” と言ったのは、アルバム前半に渋めの楽曲が集まっているから。ジックリ聴き込むと、終盤に熱気を孕んだトラックが集まっていて、尻上がりに引き込まれていくようになる。それに気づいてから、アルバムへの接し方が変わった。

ドゥービー・ブラザーズ時代は<What A Fool Belives>が象徴するように、キーボード・リフによるヒット・パターンを編み出して、半ば “時の人” となったマイケル。でも本作で聴けるのは、アコースティック・ギターやスライド・ギターなどを交えた重厚なギター・サウンドだ。ロベン・フォード、マイケル・ランドゥ、ダン・ハフ、ウォーレン・ハインズ(オールマン・ブラザーズ・バンド〜ガヴァメント・ミュール)等など、著名ギタリストがリフを重ねたり、ソロを分け合ったり、1曲に3〜4人のギター弾きが揃い踏みする楽曲もある。オマケにマイケル自身がギターを弾く曲もあったりして、アッと虚を突かれてしまった。

ただ本作を紹介している音専誌の中には、ちょっとトゲのある言い回しの記事が載っているところも(ドコとは言わないが)…。例えば、最近のマイケル再浮上について、待ってました!とばかりに、ヨット・ロックありきと断言する。確かにヨット・ロックが大きなキッカケになったことに異論はないが、返す刀で、00年の『BLUE OBSESSION』以降オリジナル・アルバムを発表しておらず、その後に出したクリスマス・アルバムやカヴァー・アルバムも大した実績を上げていない、と切り捨てる。んなアホな〜 クリスマス企画はともかく、03年作『MOTOWN』、05年作『MOTOWN TWO』、07年『SOUL SPEAK』のカヴァー3連作は、それぞれビルボード誌アルバム・チャートで14位、9位、12位にランクされ、グラミー・ノミネートだってあった。これは果たして “大した実績” ではないのか? 安定した評価を得ていた証拠ではないのか? この書き手にとってのマイケルは、サンダーキャットら若手から偶発的に再発見された落ち目のAORシンガーでなければならなかったのだろう。

ミュージック・カルチャーの表層面を捉えて論評を加えるタイプの書き手は、マイケルのようなコンサヴァティヴなアーティストが安定した人気を誇っていては、ちょっと都合が悪いのだと思う。だからこうしたご都合主義的が横行する。なんだか、最近の政治報道みたいで気持ちが悪い。それでなくてもマイケルには、未だに “ドゥービー・ブラザーズをダメにした” なんてお門違いの風評が消えないのに…

まぁいずれにせよ、輸入盤をゲットされてない方は、ぜひチェックを。日本独自のボーナス曲を追加収録したお陰でリマスターを行ない、輸入盤より更に音が良くなっている。今年も恒例のクリスマス作を出すらしいが、我々が次に期待するのは、マイケル単独の来日公演だ。