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引き続きのワーナーミュージック・ジャパン【新・名盤探険隊 紙ジャケ編】 AOR系5作品からのピックアップは、売り切れで高値を呼んでいたレスリー・スミス『HEARTACHE』、2度目のCD化。前回はヴィヴィド・サウンド【Light Mellow's Choice】からだったが、今回はその原盤供給先であった本家ワーナーから。なので仕様はほぼ同じで、国内盤/US盤両方のアートワークをあしらった紙ジャケで。解説も前回の拙ライナーを加筆修正しています。

レスリーが、かのクラッキンのリード・シンガーだったことは、AOR好きならとうにご存知だろう。グループ解散後、中核メンバーのリック・チューダコフ&ピーター・バネッタはプロデュース・チームとして歩み始め、ロビー・デュプリーやローレン・ウッド、スティーヴ・グッドマン、マシュー・ワイルダーなどを手掛けた。後にスモーキー・ロビンソンやテンプテーションズなど大物の制作に当たるようになる人気チームも、当時はまだ駆け出し。故に実績は自分たちで積み上げるしかなく、そこで彼らは自らアーティスト発掘に乗り出した。そこで白羽の矢が立ったのが、元同僚のレスリーであった。

収録は好曲連発。まず注目したいのが、デヴィッド・フォスターとブレンダ・ラッセル作<It’s Something>だ。初出は81年のドナ・ワシントン『GOING FOR THE GLOW』。本作後にはブレンダ自身が『TWO EYES(出逢いのときめき)』で。91年のレイラ・ハサウェイ版は、R&Bチャート21位とヒットした。翌92年にはレスリーも『10 CLASSICS』でリメイクしている。

更にフォスター作品がもう1曲、マンハッタン・トランスファーとエアプレイでお馴染み<Nothin’ You Can Do About It>のカヴァーが。ネッド・ドヒニーの<Love’s A Heartache>では、当のネッドも参加してギターを弾いている。こちらの初出は、ネッドと親交の深いアヴェレージ・ホワイト・バンド。レスリー後には、ギタリスト:ロベン・フォードのヴォーカル・アルバム(海外ではカズ・マツイ・プロジェクトfeat.ロベン・フォード名義)、88年になってネッドの『LIFE AFTER ROMANCE』に収録された。

本作からの第1弾シングルは、R&Bチャート71位と小ヒットしたメリー・クレイトンとのデュエット<Before The Night Is Over>。もう1曲のデュエットは、ブロック・ウォルシュが作家陣に名を連ねた<Do You Still Remember Me>で、お相手はアンナ・ペイガンという女性シンガーが務める。ユニークなのはリトル・アンソニー&インペリアルズ<I’m On The Outside Looking In>(64年/全米15位)のカヴァーで、これはレスリーのルーツが垣間見えるよう。<Don’t Shut The Door (On My Love)>は唯一レスリーがペンを取った楽曲で、クラッキン時代の盟友レスター・エイブラムスとの共作だ。

黒人シンガーながらAORで扱われるのは、クラッキン人脈もさることながら、レスリーのヴォーカルがとても洗練されていて、なおかつ まろやかだからだろう。ロビー・デュプリーの来日公演では、クラッキンの残党がバックを務めレスリーのヴォーカルがフィーチャーされる場面もあったから、主要メンバーが元気なうちに本格的なリユニオンを期待したい。