m.mcdo_1m.mcdo_early
s.dan_katy lieddelta

金澤寿和 presents Light Mellow 音盤&トーク・ライヴ Vol.13 @武蔵小山カフェ・アゲイン。台風接近の中、開催を危ぶむ声もありましたが、何とか東京直撃を免れたので予定通り開催。さすがにお客様の数は少なめでしたが、熱心な方々にお集まりいただきました。終わる頃には風雨も収まってきたようで。足をお運び戴いた皆さん、どうもありがとうございました。

さて今回は、ニュー・アルバム『WIDE OPEN』が国内リリースされたタイミングなので、そのマイケル・マクドナルド特集。ただしその新作、アナログ盤は輸入盤で出ているものの、皿が最近流行りのクリア・ヴァイナルなため、当イベントの目玉であるレーザー・ターンテーブルでは使用不可。せっかく音質重視でアナログを出すのに、ディスクをカラーやクリアにして盤質を落とすのは本末転倒なのだが、無い物ねだりをしても仕方がないので、レアな音源、関連ワークスを含めて進めていった。

例によって冒頭3曲は、レーザー・ターンテーブルの音質を楽しんでいただくコーナーで、来月来日のネッド・ドヒニー、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスを。続いて、やはりリマスターでアナログ再発されたエアプレイの名盤『AIRPLAY(ロマンティック)』を、80年のUSオリジナル盤で。本当は音質比較をしたかったところだが、この復刻盤も実はカラー・ヴァイナル。重量盤が珍重される流れがあるのに、世間が求める音質の良さって実はそれほどシビアではなく、結局は市場ムードに左右されるのか!? と悲しくなってしまう。

で、4曲目からマイケル特集。<Wynken, Blynken And Nod>はセサミ・ストリートの企画盤『IN HARMONY』からで、マイケルとパット・シモンズがずっと一緒に歌っている。解散間際のレアなレコーディングで、ベースは何故かアンソニー・ジャクソンでビックリ。オールマンのカヴァー<Midnight Rider>と<Billy>は、共に82年発売の蔵出し発掘盤『THAT WAS THEN, THE EARLY RECORDING OF...』(録音は72年)から。どうやら当時のマイケルはピアノだけでなく、曲によってはギターを弾いていたようだ。さすがに音は古いが、歌声は既に個性を存分に発揮している。

そして今回一番のレア・アイテムがThe Guild。彼らはマイケルが70年頃に短期間だけ在籍したグループ。まだ駆け出しのアーヴィング・エイゾフがバックアップし、72年にキャロル・キング作<What Am I Gonna Do>のシングルを出している。プロデュースはゲイリー・アッシャー。このシングルの録音時、既にマイケルは The Guild を抜けていて不参加のようだが、グループは後にエイゾフによってダン・フォーゲルバーグのバック・バンドに登用され、フールズ・ゴールドに発展、イーグルスの弟分として注目されていった。西海岸のロック史的に、なかなか興味深いグループなのである。ここでThe Guild を離れたマイケルは、プロデューサーのリック・ジェラードに見出され、前述『THAT WAS THEN』を制作。これは未発表に終わってしまうものの、彼の元でスティーリー・ダンのツアー・メンバーへと歩みを進めていく。そして初めて参加したスタジオ・セッションが『KATY LIED』の2曲だったそうだ。続いて前半ラストは、そんなマイケルの魅惑のスモーキー・ヴォイスを楽しめるコーラス楽曲ということで、デヴィッド・パック<I Just Can't Let Go>を。マイケル、デヴィッド・パック、そしてジェイムス・イングラムのハーモニーは、まさにヴェルヴェットの心地よさ。

インターバルの挟んでのカーリー・サイモンは、有名な<You Belong To Me>の前哨戦。ドゥービーのカヴァーだが、演奏もすべてドゥービーの面々だ。ただし出てくる音はリトル・フィートっぽくて微笑ましい。テッド・テンプルマン制作だから、きっと狙ったんだろう。メンフィス・ホーンズのカヴァー<Minute By Minute>は少しイナタい仕上りだが、コーラスでマイケル自身が参加している。デルタは妹モーリン・マクドナルドや、ジェイ・ファーガソンの弟トムが参加していた7人組で、唯一のアルバムがマイケルのプロデュース。モーリンは<I Keep Forgettin'>で印象的なコーラスを取っていた人で、舌足らずの歌い方がマイケルの奥様エイミーにそっくりだ。

バート・バカラックが音楽を担当した映画『TOGETHER』のサントラ盤で歌っていたのが、< I’ve Got My Mind Made Up>。如何にもバカラックらしい荘厳なバラードで、しかも作詞がポール・アンカである。<Love Has No Color >はワイナンズの87年作『DECISION』でフィーチャーされた楽曲。プロデュースがクインシー・ジョーンズで、彼のレーベルQwestからの作だった。黒人ゴスペル・グループと対等に渡り合う、マイケルの歌唱力をご堪能あれ”!という選曲である。そして特集最後は、お馴染み<Takin’ It To The Streets>。ただしドゥービーのスタジオ盤ではツマラないので、ライヴ盤『NO NUKES』(79年)からジェイムス・テイラーと一緒に歌ったヴァージョンにて。

特集後の3曲は、いずれも直近リリース作品の関連ネタ。クリフ・ニュートン a.k.a.クリフ・マグネスは、80年のシングル曲。プラネット3で知られるように、ハイトーンのエナジー・ヴォイスが売りの人だが、ここでは素直なポップス系歌い上げになっている。楽曲はレスリー・パール提供、というのがまた面白い。コリー・ウェルズ<You Can Count On Me>は、今回復刻されたエアプレイのCDハイブリッド盤にボーナス収録されたデモ・ヴァージョンの完成形。オリジナルはシングルB面で今も未CD化なので、実は貴重な音源です。そしてラストは、初・紙ジャケ化されたばかりのウィルソン・ブラザーズ『ANOTHER NIGHT』に初めてボーナス収録されたシングル曲。アルバム本編の洗練度には及ばないが、彼らが楽曲提供しているイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー、もしくはブレッドあたりのイメージで聴くと、なかなか好曲だと思える。

…ってワケで、次回イベントはなんとか年内にもう一度、という目論見。また決まったらお知らせいたします。それと、夏の終わり頃に、大阪のイベントに呼ばれるかもしれません。こちらも続報をお待ちあれ〜 m(_ _)m

【playlist】
1. Heartbreak In Making / Ned Doheny
2. Midnight In Richmond / Young Gun Silver Fox
3. Cryin’ All Night / Airplay
4. I Keep Forgettin’ / Michael McDonald
5. Wynken, Blynken And Nod / The Doobie Brothers
6. Midnight Rider / Michael McDonald
7. Billy / Michael McDonald
8. What Am I Gonna Do / The Guild
9. Any World / Steely Dan
10. I Just Can’t Let Go / David Pack
=intermission=
11. It Keeps You Runnin’ / Carly Simon
12. Minute By Minute / The Memphis Horns Band
13. Someone Is Gona Love Me Tonight / Delta
14. I’ve Got My Mind Made Up / Michal McDonald
15. Love Has No Color / The Winans feat. Michael McDonald
16. Takin’ It To The Streets / The Doobie Bros. & James Taylor
17. There Is Nothing So Expensive As a Woman Who’s Free For The Night / Clif Newton
18. You Can Count On Me / Cory Wells
19. Why’d You Have To Be So Beautiful / Wilson Bros.