jennifer warnes 018

ジョー・コッカーとのデュエットでヒットした映画主題歌<愛と青春の旅立ち(Up Where We Belong)>、レナード・コーエンのカヴァー集『FAMOUS BLUE RAINCOAT』(86年)で有名な女性シンガー、ジェニファー・ウォーンズ。何と01年作『THE WELL』以来、17年ぶりのニュー・アルバムが出ている。アルバム・タイトルを知って、“まさか今度はブライアン・フェリー?” と思ってしまったが、さすがにそれは早とちり… でも聡明でピュアー、なおかつ何処までも真っ直ぐなイメージのある彼女なら、やりかねないな、なんて思いもあったりして…。

最近は彼女の70年代後半アリスタ期の2作を拙監修《AOR City》シリーズで廉価再発させたり、更にその前のリプライズ盤がワーナー《新・名盤探検隊 紙ジャケ編》に組み込まれたりしていたため、歌声そのものにお久しぶり感はない。それでも “今の声” が届くのが17年ぶりとなれば、やはりそれは感慨深く。ヴィブラート成分の少ない静謐な声に深い情感を秘めたジェニファーの歌は、今やすっかり貴重な存在である。

そんな久しぶりの作品が生まれた経緯は知らないが、気負ったところは皆無で、まるきりの日常をそのまま封じ込めた感じ。ジェニファーと共にプロデュースに当たっているのは、やはりコーエンと縁深いベース奏者ロスコー・ベックだ。ロベン・フォード&ザ・ブルー・ラインのメンバーとしても知られ、もちろんジェニファーとは旧知の仲。かのコーエン作品集でも重要な役割を果たしていた。そこにデイーン・パークス(g)、エイブラハム・ラボリエル(b)、ヴィニー・カリウタ/ジョン・フェラーロ(ds)、レニー・カストロ(perc)、ジム・コックス(kyd)、ブロンディ・チャップリン(cho)ら手練れが参加。ジックリゆったり、ジェニファーのペースでセッションしている。楽曲によってソニー・ラングレンやグレッグ・リーが参加しているように、スライド、ペダル・スティール、リゾネーター・ギター、ナイロン弦にマンドリン、そして弦カルテットが絡むナンバーも多く、自然体のオーガニックなサウンドが大らかに流れていく。これで悪かろうはずはない。もっとも、分かる人にしか分からないだろうけど…

今作ではレナード・コーエンは歌っていないが、収録曲にはやはり唸らされるモノがいくつか。オープナーの<Just Breathe>はパール・ジャム:エディー・ヴェダー作、<Once I Was Loved>はジョン・レジェンドの提供、そして<Back Where I Started>はデレク・トラックス・バンドの、ラストの<Why Worry>はダイアー・ストレイツのそれぞれカヴァー曲である。ホラ、だからブライアン・フェリーのカヴァーがあっても不思議じゃないし、フェリーがボブ・ディランに心酔しているのを知っていれば、その距離は一層縮まるはずだ。

ブックレットのジェニファーは、さすがにお婆ちゃんになった。でも知的な眼鏡美人だった頃の面影は、今もシッカリ残っている。