peabo bryson 018

北欧や欧州勢が救世主的存在になって、新人や若手が輩出されているAORシーンに比べ、ほとんど壊滅的なのが、かつてブラック・コンテンポラリーと呼ばれた都市型R&B勢。いわゆるネオ・ソウルやヒップホップ・ソウル寄りのニュー・カマーは出てきても、オールド・スクール/王道系はスムーズ・ジャズに寄り添うしか手がなく、キャリア組もインディでアルバムが出せればいい方、という実情。80'sブギー人気にあやかって登場しても、果たして次はあるのか?と思ってしまう。多くのビッグ・ヒットを持つピーボ・ブライソンの場合も、ほぼ毎年のように来日し、女性客にバラの花を手向けつつ見事なヴォーカルを聴かせているが、ことアルバムとなると、もう10年以上もニュー・アルバムから遠ざかっていた。

そのピーボが、何とジャム&ルイスとタッグを組んでの新作発表。しかもリリース元は、再興されたジャム&ルイスのパースペクティヴ。最初に話を聞いた時は、互いのキャリアやポジションは釣り合うものの、音楽的な整合感はどうなのよ?と思ってしまった。でも聴いてみると、まぁ、収まるべくして収まったな、という感想。

先行リリースされて話題を呼んだ<All She Wants To Do Is Me>は、如何にもジャム&ルイス制作らしいブギー・スタイル。瞬時にアレックス(オレキサンダー・オニール)?…、なんて思ってしまったが、なるほど歌声が少し甘いだけで、ピーボの歌唱力健在をキレのあるダンサーで体現している。カッコイイ 続いての<Love Like Yours And Mine>は安定のバラード。ただしサウンドメイクは、シンセ・ベースとリズム・プログラムが主導する90'sスタイル。エキゾチックに始まる<Looking For Sade>は、タイトルまんまのシャーデー・オマージュ。そういえばピーボは、シャーデーのレパートリーをライヴ定番にしていたんだった。アルバム・タイトル曲<Stand For Love>は、リトル・アンソニー&インペリアルズの曲を鋳込んだ豪放ミディアム。そして新世代ブルース・ギタリスト:ゲイリー・クラークJr.をゲストに迎えた<Goosebumps (Never Lie)>へ進んで行く。このあたりまでは、なるほどピーボとジャム&ルイスのコラボ作品として、それらしい出来。作曲陣にもシッカリとジャム&ルイスが名を連ねている。

しかし後半に入ると、ピーボらしさが前面に。ディズニー・サントラ風のバラード、かつて小柳ゆきとデュエットしていた<Here For You>のセルフ・リメイク、そしてラストは若干反則気味に、シャンテ・ムーアをフィーチャーしての代表曲ライヴ・メドレー(Feel The Fire〜I'm So Into You〜Tonight I Celebrate My Love)で、風格の横綱相撲を取るのだ。ここら辺の新曲は、日本人作家や日本でデビューしているシンガー・ソングライター:モーリー・スターンズが深く絡んでいて、何やらバブルの残り香が。ま、イイもの作ってくれるなら、それでイイんですけど… 多少は盛っているだろうけど、L.A.のオーディエンスの熱さは日本の比ではない。

それにしてもピーボの歌いっぷりの見事さは、まったく衰えを知らない。最近足を運んでなかったので、10〜11月の来日公演は観に行ってみようかな。