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以前、HMV record shop 渋谷で一緒にイベントに出演したこともある、福岡出身のツー・メン・ユニット:カンバス。7月末に出した2ndアルバム『アイランド』が、なかなかに充実した出来映えだ。いわゆるシティ・ポップスだけど、AORというよりは、ほんのりブルー・アイドなソフト・ロックというニュアンス。それでもアルバムにはバラエティに富んだ楽曲を収めており、成長した姿を覗かせている。

収録曲はすべて小川タカシの作品。ギターやキーボードも彼が操っている。相方の菱川浩太郎はベースとコーラス。少し黒っぽいグルーヴの曲が多いのは、きっと彼の貢献なのだろう。

スタートはアルバム・タイトル曲<アイランド>から。ふわり舞い立つグルーヴが心地良いポップ・チューンだ。アコギの刻みに導かれた<丑三つ時に君思う>は、“藁人形に杭を打つ”というフレーズが印象的なネッド・ドヒニーっぽい楽曲。気づけばもう2年前のシングル曲<この街の夜さ>は、マイクロスター佐藤清喜とのコラボによる軽快シャッフル。ちょっぴり<Daydream Beliver>の香りがする。たたみ込むようなダークなビートの<惰性>は、ギターやエレピのソロもカッコよく。こうしたタイプの曲って、これまでのカンバスにはなかったような気がする。<もうひとねむり>は、スティーヴン・ビショップが歌いそうなジャジーでカワイイ曲。

後半では、タキシードあたりを意識したと思しきダンス・チューン<ハイウェイ>、ほろ苦いバラード<ラバー>が、個人的お気に入り。ラストの<Sunset 202>は<この街の夜さ>のカップリングだったもので、やはりマイクロスター佐藤が共同プロデュースに当たっている。

どの曲も風通しが良いのは、ほとんどの楽曲で小川が弾くアコギがシッカリ聴こえてくることからも明らか。最近の若手シティ・ポップ・バンドの多くは、少し時代が違えば “シティ・ポップ” とは言われてなかったような連中ばかりで、少々辟易とさせられる。でもカンバスみたいな音に触れると、思わず笑みが溢れてしまうな