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なんとも貴重なライヴ、ネッド・ドヒニー&ヘイミッシュ・スチュアート@Billboard Live Tokyo 2nd Show へ。ネッドは “plays HARD CANDY”と謳った前回ソロ公演から約3年ぶり、ヘイミッシュは自分のバンドを率いて Cotton Club へ出演して以来5年ぶりのジャパン・ツアーとなる。もちろんネッドは最新作『THE DARKNESS BEYOND THE FIRE』を拙監修【Light Mellow Seaches】@ P-Vineでリリースしたばかり。ヘイミッシュは一昨年、スティーヴ・フェローン(ds)やマルコム・ダンカン(sax)といったアヴェレージ・ホワイト・バンド(以下AWB)の残党で組んだプロジェクト:360 Bandでアルバムを出していて、カナザワ的にもAWBのコンピを組んだり(タワーレコード限定)、ヘイミッシュ・バンド『REAL LIVE』の解説を書いたりしているので、両人とも(勝手に)近しいと感じている。

それぞれの前回公演は、ネッドがジミー・ハスリップ(b)やマイケル・ホワイト(ds)、ヘイミッシュはジム・マレン(g)やウィル・リー(b)と、どちらもスペシャル・メンバーを率いたステージを見せてくれたが、今回は2kydとドラム、ベースと馴染みのない輩ばかり。看板が2人だから、まぁそれも仕方ないか、と思っていたが、手堅いリズム隊とブッ飛びの掛け合いを披露した鍵盤隊に興味をソソられ、帰って調べてみて驚いた あぁ、もっとチャンと見ておくべきだったかも〜

ジワジワくるオーディエンスの熱気とは裏腹に、メンバーはゆっくりステージに上がり、マイペースで準備。まずはネッドがアコギを抱え、<Give It For Love>を刻んでゆるりとスタートする。日本ではネッドに格上感があるが、実際はほぼ対等でツー・トップをこなす。セット構成もネッドとヘイミッシュが交互にリード・ヴォーカルを取るフォーマット。ネッドは自分の曲ではアコギ、ヘイッシュの曲ではエレキと、頻繁にギターを持ち替えていた。

ヘイミッシュが歌う<Work To Do>は、アイズレー・ブラザーズのカヴァーと紹介されたが、もちろんAWBでお馴染みである。<Love & Happiness>は、ヘイミッシュ的にはデヴィッド・サンボーンのライヴにゲスト参加して歌ったのがポピュラー。サンボーンの映像盤は、そのまま『LOVE & HAPINESS』として発売されている(CDは『STRAIGHT TO THE HEART』)。エンディングで「Thanks. Al Green!」とオリジネイターに敬意を表していたのも、職人ヘイミッシュらしい。

中盤は2人の代表的共作<What'cha Goona Do For Me>と<A Love Of Your Own>。前者はチャカ・カーンで有名で、追ってAWB、ネッド自身も取り上げたが、今回はヘイッシュ主導。ただしアレンジはAWBほどせわしい感じはなく、ネッド『SEPARATE OCEAN』版に近いか。実はヘイミッシュ、AWB崩壊はデヴィッド・フォスターをプロデュースに迎えたことに始まったと思っているようで、『SHINE』のアルバムは好きじゃないのよ

それでも最後は<To Prove My Love>で大盛り上がり。ネッドのライヴはこれまでに数回観ているが、今回ほどファンキーに盛り上がったことはなく、明らかにヘイミッシュ効果と言える。特にネッドはいつもギターとヴォーカル兼任でライヴを演ってきたから、その負担を両方一度に軽減できたのが大きい。ちょっとキツそうにハイトーンを出すのはネッドのクセだけれど、齢70で大した衰えもなくあの声が出るのは驚異的。繊細かつ神経質なトコロのある人だから、頼れるヘイミッシュが後ろにいることで安心感があっただろう。

対するヘイミッシュも、ネッドがいるから気楽にライヴを楽しんだ様子。彼は堅気な職人気質の持ち主だから、バイ・プレイヤーというポジションが似合うのだ。そのため一人でフロントに立つと、いろいろ背負いすぎてしまう。前回公演がまさにそうで、終始固さが目に付いた。でもそれがネッドの存在で中和され、逆にヘイミッシュらしさが滲み出てくる。曲間の進行はゆ〜るゆるで、若干間延びしたところもあったけれど、この2人は1+1で何倍もの相乗効果を生む名コンビなのだな。

バックで湧いたのは、随所でフィーチャーされる鍵盤バトル。基本的にはロス・スタンレーがオルガン、ジム・ワトソンがローズ・ピアノの前に陣取っている。が、ジムのピアノ・ソロはかなりジャジーな組み立てで、どんどんアウトしていくような、半ば歌モノにあるまじき展開。それを受けるオルガンのスタンレーも、いきおい過激なフレーズを繰り出していく。時には2人が示し合わせてポジションを入れ替える場面もあり、オーディンスもヤンヤの喝采。「アレ、オレいま何のライヴに来てるんだっけ?」なんて呆気に取られる場面さえあった。帰って調べたら、ロスはイエスのスティーヴ・ハウからジェイミー・カラムまで、幅広くセッション。ジムはインコグニートやサウンド・スタイリスティックスにも絡んだ人で、ベン・ワットやマヌ・カチェのアルバムに参加している。

更にビックリなのが、ドラムのジェレミー・ステイシーだ 。ネッドたちも出演したサマソニでは、ノエル・ギャラガーのバンドと掛け持ちだったそうで、他にもジョー・コッカー、エリック・クラプトン、アズテック・カメラ、シェリル・クロウ、ロビー・ウィリアムス、ザ・フィン・ブラザーズなどに引っ張りだこだ。イエス周辺やキング・クリムゾンにも名を連ねている。どっひゃ〜

セットリストに記載はないが、<Pick Up The Pieces>も軽くプレイ。ヴェニューではアンコールなしかと思ったものの、実際は最後にリストにない<Postcards From Hollywood>をサラリと歌ってくれたので、それがアンコール代わりだったのだろう。

バック・メンバーはともかく、是非このツー・トップの再演を。そう願わずにはいられない好ステージだった。

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