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久しぶりの "生ひやじょう" を、カンムリを貸した Light Mellow Tropical@カブキラウンジで。彼女のライヴを観るのは、13年9月の流線形&比屋定篤子@目黒パシモンホール以来、なんと5年ぶり。近年の彼女は年に何度か沖縄から上京し、ギターの笹子重治さんとのデュオ・ライヴを首都圏近郊で行なっているが、気には止めつつもスケジュールや場所の問題から足を運べず、ふと気づけば5年も…、という感じ。それでも比屋定さん、シッカリとカナザワのことを覚えていてくださり、顔を合わせなり、「うゎぁー、お久しぶりです」と握手の再会となった。

昨年末にリリースされた『風と鱗』は、オリジナル・ソロ・アルバムとしては10年ぶりだったが、そのジワジワくる充実の内容に魅せられた(レビューはコチラから)。今回のライヴも、その最新作からの楽曲を中心に構成されている。それでも普段のデュオ・ライヴとチョッと違うのは、事前にファンの皆さんからリクエストを募り、それをセットに反映させたこと。そのため、メジャー時代の人気曲が多く取り上げられ、久しぶりに歌う楽曲が多くなった。でもそれが、初期ファンにはとっても嬉しかったんだな。

何と言ってもカナザワの初 "生ひやじょう" は、2nd『囁かれた夢の話』が出て間もない頃にタワーレコード新宿店が主催したイベント・ライヴ(店が入っているFLAGS屋上で開催。benzoやヨシンバも出演)。もう20年近く前の話だ。その時、空に舞い上がっていく歌声の確かさに只ならぬ気配を感じ、まだ手にしていなかった2ndをゲットして、ズブズブとハマったと記憶がある。なので流線形と組む前から<まわれ まわれ>や<メビウス>には思い入れがタップリなのヨ。

もちろん 久しぶりに皮膚感覚で聴く "生ひやじょう" の歌声の引力磁場も、かつてのまま。しかも笹子さんのアコギ・プレイが驚嘆モノで、彼の名演あればこその比屋定ソロ だ!と強く感じた。新作からだと、やはりキリンジのカヴァー<エイリアンズ>が素晴らしかったな。楽曲の魅力が深いのは言うまでもないけど、冷めたように歌われるオリジナルに対し、比屋定ヴァージョンには内なる炎のほのめきが感じられる。シンプルな歌表現でも心が疼くのは、彼女の歌声に秘められた静かなるパッションゆえ。だからこそ彼女の世界は、必要最低限のアコースティック・デュオでもこじんまりとまとまらず、むしろ無限の可能性を感じさせるのだ。

ホントはバンドで観たかったのに(翌日バンド・ライヴがあった)、自分のスケジュールとカンムリの関係でこちらに来たが、これはまた近い内に足を運ばねば、と強く思った。