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カーティス・メイフィールドやジェリー・バトラーを輩出し、先ごろ日本公演を成功させたリロイ・ハトソンも籍を置いた時期のあるR&Bヴォーカル・グループの名門インプレッションズが、キャリア60年にして初来日。しかもオリジナル・メンバーのサム・グッデン、59年にバトラーの後任として加入したフレッド・キャッシュの2人が引退を表明していることから、この来日が最初で最後のジャパン・ツアーになる。正直インプレッションズには深い思い入れがないけれど、カーティスが率いたグループとして、はたまた<Gypsy Woman>や<People Get Ready>、<I'm So Proud>といったR&B名曲のオリジネイターとして、その勇姿に触れるチャンスを逃したくないと思い、そそくさと足を運んだ。

3菅を含む7人編成のバンドは、意外にも6人が白人。リロイ・ハトソンの時みたいに英国人バンドか?と思いきや、ワシントンD.C.を拠点にしているそうで、ベースの兄ちゃんなんてまだ20代に見える。対してフロント3人のうち、両サイドを固めるサムとフレッドは、おそらく80歳近い。ここ1年ほどセンターに立ってリード・シンガーを務めるジャーメイン・ピュリフォリーが、30代そこそこだろうか。

カナザワの個人史で言えば、インプレッションズの名を知ったのは、ジェフ・ベック絡みである。ただロッド・スチュワートが歌った<People Get Ready>ではなく、ベック・ボガード&アピス時代にカヴァーしていた<I'm So Proud>(73年)が最初だ。でも実際にその曲を知ったのは75年頃で、彼らがスティーヴィー・ワンダーから提供された<Superstition (迷信)>と同時だった。もっともインプレッションズのオリジナル・ヴァージョンを耳にしたのは、おそらくその数年後。83年にはデニース・ウィリアムスも歌っていた。その後カーティスの作品群を揃え始め、インプレッションズも耳にするようになった。

…とはいえ、彼らの全盛期はやはり60年代。都市型シティ・ソウルを愛でるカナザワには、ちょっとイナタすぎる。それでも実際のステージでは、ノスタルジックなシャッフル・ビートやハーモニーが耳に優しく、腰には柔らか。ジャーメインは優れたファルセッターだが、逆に本格的すぎて、線が細いカーティスの歌声とはイメージの差が大きかった。でもそれはそれ。矢継ぎ早に古き良き名曲たちが繰り出されると、イントロだけで拍手が湧き起こったり、歓声が飛ぶ。自分はあまり馴染みがなかったが、コレが本場のR&Bショウなのだな、きっと。

セットリスト的には、グループを脱退したカーティスのソロ代表曲をバンド演奏で聴かせたり(<Freddie’s Dead>や<Superfly>など)、アンコールでは<Move On Up>をサーヴィスしたり。1曲1曲が短いので70分程度のパッケージ・ショウとなったが、何だがホッコリした空気が漂う、居心地の良いソウル・レビューだった。

インプレッションズ最後の公演は、13日(木)に再度ビルボード・ライヴ東京で。15日(土)にはビルボードライヴ大阪でも。お見逃しなく。

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