chu_kosaka_horo live

今日は午後から出ずっぱりで、取材〜軽呑みミーティング。深夜に帰宅し、メール・チェックなどしながら手を伸ばしたのが、今年3月の『HORO』全曲再現ライヴ@Billboard Live Tokyo をMCまでまるごと収録した、小坂忠のライヴ盤だ。昨年ガンを患い、かなり深刻な状態に陥った忠さんだが、手術して見事に復活。復帰直後はかなり痩せ、歌声も少し細くなってしまった感があったものの、みるみるうちに元気を取り戻し、およそ半年。復帰後初めてとなったこのソロ・ライヴでは、誰もが目を見張り、耳を疑うほどの完全復活を遂げた。自分も足を運びたかったが、チケット即完で観ること叶わず。それだけに、このライヴ盤のリリースはとても嬉しい。

御存知のように、75年に発表された『HORO』は、70年代和製ロック代表作のひとつ。細野晴臣のプロデュース、ティン・パン・アレー・ファミリー総出演の名盤として親しまれている。忠さん自身このアルバムに強い愛着を示し、マルチ・マスターが発掘された際には、ヴォーカルのみを録り直した『HORO 2010』を発表した。

今回のライヴのメンバーは、鈴木茂(g)、小原礼(b)、Dr.kyOn(kyd)、屋敷豪太(ds)、斎藤有太(kyd)、そしてAisa(cho)という強力な面々。その彼らの名演ぶりもさることながら、やはり忠さんの熱い歌声が素晴らしい。長らくポップ・シーンから退き、牧師としてゴスペルを歌っていた忠さんが、01年作『PEOPLE』で前線復帰。それ以降何度となくその姿に触れてきたけれど、歌の表現力は、いまピークにある気さえする。『HORO』最後の<ふうらい坊>の歌唱なんて、まじスゴイよ それこそ大病を克服しただけでなく、それ以前の元気な頃にも負けぬ歌いっぷりだ。

また近頃のライヴ盤ではカットされがちなMCまでカットせずにそのまま収録しているのが、年季の入った音楽ファンには逆に新鮮。アルバム・ラストには、アンコールで歌われた<上を向いて歩こう>も収められている。6月の "DANNY KORTCHMAR & IMMEDIATE FAMILY -West Coast Sound Summit Vol.1-" でも元気な歌声を披露してくれた忠さん、既に古希を迎えているけれど、その唯一無二の歌声と牧師さんらしい優しさで、いつまでも日本のポップ・シーンで活躍してほしい。