takanaka brasilian skies 40th

4月に行われた村上ポンタ秀一『音楽境地』やクロスオーヴァー系イベントなど、今までに何度もライヴを観ている高中正義。でも純粋なソロ・ライヴを観るのは、いったいいつ以来だろう? 03年に出た『GUITAR GOBLIN - TAKANAKA THE BEST』なるキティ時代の2枚組コンピで解説を書いたあと、よみうりランドEASTだったかの野外ライヴに行った記憶はあるのだが…。実際自分の思い入れが強いのはキティ時代前期で、初ソロ作『SEYCHELLS』から入り、発売直後に買った『TAKANAKA II』は、未だ真夏になると引っ張り出すマイ・フェイヴァリット。それに比べると、この78年の4作目『BRASILISAN SKIES』は、少しテンションが緩めである。でもそれはリオ・デ・ジャネイロ録音(L.A.と伊豆にあったキティ・スタジオでもレコーディングされている)がもたらした大らかなムードと、日本の夏を彩る郷愁感がミックスされた結果であって、夕暮れ時にタカナカを聴くなら、圧倒的にコチラだ。
(以下、若干ネタバレあり)

そんな『BRASILIAN SKIES』40周年に出かけたのは、カナザワがデビューに導いたブルー・ペパーズの井上薫が、このツアーの2nd Kyd に大抜擢されたため。当初のこのツアーは、高中以下、斉藤ノヴ(perc)、岡沢章(b)、宮崎まさひろ(ds)、小林信吾・宮崎裕介(kyd)、AMAZONS [大滝裕子・吉川智子・斉藤久美] (cho) というメンバーが発表されたが、その後 闘病から復帰したはずの小林信吾が再び体調を崩したらしく、代役に井上が選ばれた。そこでここは要らぬ親心(?)を発揮し、その晴れ舞台を見ておこうと…。そのうえ自分も学生時代、タカナカのコピー・バンドを手伝っていた身。平成生まれの井上と違って、この頃のタカナカ作品は、もう血肉として自分の中に完全に刷り込まれているのよ

上掲フライヤーにもあるように、このステージがツアー初日。なのでセトリ掲載は控えるが、タイトルがタイトルだけに、『BRASILIAN SKIES』は全曲プレイされる。後半はそのままライヴ定番曲が次々と繰り出され、<Early Bird>でオーディエンス総立ち。圧巻の<Tropic Birds>、本編ラストの<Ready To Fly>、アンコールではもちろん<Blue Lagoon>。ラストの<You Can Never Come To This Place>では、キーボード・ソロのあとにドラマチックな演出がッ

『BRASILIAN SKIES』の曲を演るために今回 amazonsを同行させ、それで<Taji Mahal>や<Mambo Magic>など歌モノが多くなったのか、と思いきや、顔を合わせたライター仲間のK氏(近年ずっと高中のコンサート・パンフレットを書いている)に訊いたところ、amazonsのツアー参加は去年からで、そもそも東芝EMI時代の楽曲をライヴで演るために呼ぶことになったのだとか。でも張りボテ・ギターを弾く真似で踊りながら歌っちゃったりして、やっぱり女性3人が入ると華がある。それもあってか、「近年のライヴで一番良かった」なんて声が耳に入ってきたりも。結果的に今ツアーはkydが若手に総入れ替えとなったが、それも常連には新鮮に映ったのかもしれない。基本的に宮崎クンがピアノで、井上はシンセ、オルガンなどの鍵盤系。だから自ずと、井上が高中のあとを受けてメロディを弾く楽曲が多かった。高中の曲を聴いていると、いつも、良い音楽にとって本当に必要なモノは何かを気づかされる。

スケジュール的に野音へは行けそうにないので、ココで観られて良かった。ブルー・ペパーズの相方:福田直木は、TV番組『 YOUは何にしに日本へ』に出演して名を上げたけれど、今度は井上が若手ミュージシャン有望株として広く注目される番かも