
前回ポストに続いて、11月後半の備忘録から、2日連チャンで観ることができたデヴィッド・フォスター来日公演に関してのメモ。今年は何度かビッグな日本公演の噂が出ては実現せずに終わっていたフォスターだけに、ブルーノートのようなヴェニューでのショウが実現するなんて、本当に寝耳に水だった。聞けばこれは、ブルーノート30thアニヴァーサリーと日加修好90周年が重なったが故のスペシャル企画とのこと。ひとまずブルーノート公演初日2ndのシートを確保して安心していたところ、公演前夜祭としてカナダ大使公邸で催されるクローズドのトーク&ミニ・ライヴ/カクテル・レセプションへのインビテーションが舞い込んだ。ドレス・コード付きなので、超久し振りにビジネス・スーツを引っ張り出し、事前にサイズ・チェック。20年前に着ていたスーツがスンナリ入ってよかったぁ〜


赤坂にある大使公邸で行われたミニ・ライヴは、ピアノ+同期オケに女性シンガー2人というフォーマット。シンガーの1人は、2011年にフォスター主催のコンペティションでファイナリストに勝ち残り、2度目のフォスター&フレンズ(2012年)来日の際に東京国際フォーラムのステージに上がったRIRI(今年メジャー・デビュー/当時11歳)で、ホイットニー・ヒューストン<I Always Love You>を見事に歌唱。ところが、当初来日が予定されていたフォスターのフィアンセ:キャサリン・マクフィーは喉の不調で来日できず、急遽インドネシアの歌姫ディラ(Dira Sugandi)が代役に。彼女は本国で注目されている中堅実力派シンガーで、ASIAS GOT TALENTのジャッジを通じてアジアの音楽シーンと交流を深めているフォスターと知己を得たらしい。そしてチャカ・カーン<Through The Fire>を高らかに歌い、シッカリと務めを果たした。
フレンズのステージでも垣間見せたフォスターの名MCは、こうしたパブリックなパーティで全開。居眠りしていたらしい年配の招待客をイジりつつ(大使館関係者か?)、ジョークを交えて笑いをとり、フレンドリーかつ巧みにショーを進めていく。Q&Aで女性客から「クリスマスに欲しいものは?」と訊かれたことに端を発して、<聖しこの夜>を即興でオーディエンスに歌わせ、2コーラス目は客席にいたブライアン・マクナイトに無茶ぶり。ホールからラウンジに場所を移したあとは、ゲストの皆さんと気さくに写真を撮ったり談笑して散会となった。ちなみに今回が6度目の来日といっていたが、実際は7回目。宗教家兼実業家:深見東州がスポンサーとなった16年3月の来日(舞浜アンフィシアターでのライヴはセミ・クローズド)が一番直近だが、どうもこれがカウントされていない。ベイビーフェイスやピーター・セテラも同行していたが、後でスポンサーの実態を知ったか、フォスター的には なかったコトにしておきたいようである
さて、一夜明けての @Blue Note Tokyo 2nd show。今回はフレンズのようなアジア・ツアーの一環としての来日ではなく、まさに日本のために組んだステージのよう。したがってドラムのジョン・ロビンソンと、4日間の公演中前半2日に参加するブライアン・マクナイト以外に知ったプレイヤーの名はなく…。kydのトリ・ロレータはアリアナ・グランデのツアー・メンバーだそうだが、サックスのデヴィッド・ネグレーテに至っては日本在住のプレイヤーだから、どうしても急造の感は否めない。でもあまり緻密に作り込まないアンサンブルと、アット・ホームな進行もクラブ公演ならでは。オーディエンスにとっては、あの偉大な大物プロデューサー:デヴィッド・フォスターを、手が届く位置で観られるのだから大変貴重なのは間違いない。
超満員のオーディエンスの間をすり抜けてステージに上がったフォスターは、まずは同期を駆使してオーケストラ・ヴァージョン<Carol Of The Bells>でショウをスタート。それ以降、時に映像を使って自分のキャリアを説明するなど、巧みなトークでオーディエンスを引き寄せつつ、自ら手掛けた名曲の数々を繰り出していく。最初に登場したゲスト・シンガーはレセプションでも歌ったディラで、セリーヌ・ディオン<Power of Love>と連日となる<Through The Fire>を。おそらく彼女のことを知っているオーディエンスはホンのひと握りだったと思うが、その艶やかな歌はアッと言う間にリスナーを虜にした。
続いてサックスをフィーチャーした<St. Elmo's Fire>。最初は日本人プレイヤーを探したそうだが、ということはリハーサルは東京でやったのか? フォスターはアワード獲得にこだわりがあるようで、3度のノミネートで未だ受賞できずにいるアカデミー音楽賞をネタに、映画『TOPGUN』の映像を流しながら、受賞曲であるベルリン<愛は吐息のように( Take My Breath Away)>の代わりに、受賞を逃した『BEST KID 2』のピーター・セテラ<Glory Of Love>を乗せる手の込んだ茶目っ気も見せてくれた。まさにエンターテイナーである。
フォスター自身が歌い始めた<Hard To Say I'm Sorry>からのゆ〜るゆるのシカゴ・メドレーも、オーディエンスに歌わせるなど、客席を盛り上げるには効果的。一方で「ジャズの得意なミュージシャンが集まっているから…」と、ウェザー・リポート<Teen Town>を演ったのはビックリ。そして韓国のディーヴァ:ソヒャンが登場して、『BODYGUARD』からの<I Have Nothing>、 <I Will Always Love You>は、さすがに感動的だった。多少演奏がゆるくても、楽曲そのものは素晴らしいから、フォスター自身が采配することでツボはシッカリ。だからあとは、それを余すところなく表現できる超実力派シンガーされえいえば、無名でもOKなのだ。オリジナル・シンガー不在の条件下では、むしろステイタスを築いているベテランに歌わせるより、新人や若手シンガーの方が、むしろ素直にオリジナルに忠実に歌ってくれる。ディラやソヒャン、昨日歌ったRIRI、後日飛び入り的に登場したMay J.にしても、そういうコトなのだろう。
そして終盤には、今ツアーで唯一名が通っているブライアン・マクナイトが登場。古くからのフォスター・ファンに人気のアル・ジャロウ<Mornin>、そして出世曲アース・ウインド&ファイアー<After The Love Has Gone>で大盛り上がり。ブライアンも「<After The Love Has Gone>がいちばん好きなフォスター・ソング」と熱唱で応えた。こうした場面で「あぁ、ココにジェイ・グレイドンがいたらナァ…」と思ってしまうのはAORファンの性ながら、今回のようなディナー・ショウ・スタイルのエンターテイメントとは相容れないのが分かっているから、コレでいいのだ! All 4 One<I Swear>を挟んでは、ブラインアン自身のヒット曲も披露され、意外にもラストはEW&F<September>。フォスターは作編曲やプロデュースには絡んでいないはずだけど、それこそピアノでも弾いてたかしらね? もっともアヴェニュー内はそんなコトお構いなしに総立ち。フォスター御大は握手攻めに遭いながら、ニコヤカにステージから去っていった。アンコール <Water Fountain>の静謐な感じが、また良かったな…。
とにかく、クラブ公演という特別なシチュエーションこそが貴重だった今回の来日。大ホールで同じことを演ったら、きっと間延びは免れないだろう。それこそ3〜4日目のショウでは、「来年はジェイ・グレイドンとエアプレイで…」と言い放ったらしいが、ここ数年の来日騒動を裏から見ていると、実現のハードルの高さもよ〜く分かる。でもホントに決まったら、こりゃー大事件だ
1. Carol Of The Bells
2. Power of Love
3. Through The Fire
4. St. Elmo's Fire
5. Chicago Medley
6. Teen Town
7. I Have Nothing
8. I Will Always Love You
9. Mornin
10. After The Love Has Gone
11. I Swear
12. One Last Cry
13. Back At One
14. September
-- Encour --
15. Water Fountain


左:2012年 東京国際フォーラム内で行われたコンベンション
カナザワが巻末に寄稿した自伝『THE HITMAN』にサインをもらう図
右:2013年 東京国際フォーラムのバックステージで
自分は偶然にも同じシャツ(苦笑
フレンズのステージでも垣間見せたフォスターの名MCは、こうしたパブリックなパーティで全開。居眠りしていたらしい年配の招待客をイジりつつ(大使館関係者か?)、ジョークを交えて笑いをとり、フレンドリーかつ巧みにショーを進めていく。Q&Aで女性客から「クリスマスに欲しいものは?」と訊かれたことに端を発して、<聖しこの夜>を即興でオーディエンスに歌わせ、2コーラス目は客席にいたブライアン・マクナイトに無茶ぶり。ホールからラウンジに場所を移したあとは、ゲストの皆さんと気さくに写真を撮ったり談笑して散会となった。ちなみに今回が6度目の来日といっていたが、実際は7回目。宗教家兼実業家:深見東州がスポンサーとなった16年3月の来日(舞浜アンフィシアターでのライヴはセミ・クローズド)が一番直近だが、どうもこれがカウントされていない。ベイビーフェイスやピーター・セテラも同行していたが、後でスポンサーの実態を知ったか、フォスター的には なかったコトにしておきたいようである

さて、一夜明けての @Blue Note Tokyo 2nd show。今回はフレンズのようなアジア・ツアーの一環としての来日ではなく、まさに日本のために組んだステージのよう。したがってドラムのジョン・ロビンソンと、4日間の公演中前半2日に参加するブライアン・マクナイト以外に知ったプレイヤーの名はなく…。kydのトリ・ロレータはアリアナ・グランデのツアー・メンバーだそうだが、サックスのデヴィッド・ネグレーテに至っては日本在住のプレイヤーだから、どうしても急造の感は否めない。でもあまり緻密に作り込まないアンサンブルと、アット・ホームな進行もクラブ公演ならでは。オーディエンスにとっては、あの偉大な大物プロデューサー:デヴィッド・フォスターを、手が届く位置で観られるのだから大変貴重なのは間違いない。
超満員のオーディエンスの間をすり抜けてステージに上がったフォスターは、まずは同期を駆使してオーケストラ・ヴァージョン<Carol Of The Bells>でショウをスタート。それ以降、時に映像を使って自分のキャリアを説明するなど、巧みなトークでオーディエンスを引き寄せつつ、自ら手掛けた名曲の数々を繰り出していく。最初に登場したゲスト・シンガーはレセプションでも歌ったディラで、セリーヌ・ディオン<Power of Love>と連日となる<Through The Fire>を。おそらく彼女のことを知っているオーディエンスはホンのひと握りだったと思うが、その艶やかな歌はアッと言う間にリスナーを虜にした。
続いてサックスをフィーチャーした<St. Elmo's Fire>。最初は日本人プレイヤーを探したそうだが、ということはリハーサルは東京でやったのか? フォスターはアワード獲得にこだわりがあるようで、3度のノミネートで未だ受賞できずにいるアカデミー音楽賞をネタに、映画『TOPGUN』の映像を流しながら、受賞曲であるベルリン<愛は吐息のように( Take My Breath Away)>の代わりに、受賞を逃した『BEST KID 2』のピーター・セテラ<Glory Of Love>を乗せる手の込んだ茶目っ気も見せてくれた。まさにエンターテイナーである。
フォスター自身が歌い始めた<Hard To Say I'm Sorry>からのゆ〜るゆるのシカゴ・メドレーも、オーディエンスに歌わせるなど、客席を盛り上げるには効果的。一方で「ジャズの得意なミュージシャンが集まっているから…」と、ウェザー・リポート<Teen Town>を演ったのはビックリ。そして韓国のディーヴァ:ソヒャンが登場して、『BODYGUARD』からの<I Have Nothing>、 <I Will Always Love You>は、さすがに感動的だった。多少演奏がゆるくても、楽曲そのものは素晴らしいから、フォスター自身が采配することでツボはシッカリ。だからあとは、それを余すところなく表現できる超実力派シンガーされえいえば、無名でもOKなのだ。オリジナル・シンガー不在の条件下では、むしろステイタスを築いているベテランに歌わせるより、新人や若手シンガーの方が、むしろ素直にオリジナルに忠実に歌ってくれる。ディラやソヒャン、昨日歌ったRIRI、後日飛び入り的に登場したMay J.にしても、そういうコトなのだろう。
そして終盤には、今ツアーで唯一名が通っているブライアン・マクナイトが登場。古くからのフォスター・ファンに人気のアル・ジャロウ<Mornin>、そして出世曲アース・ウインド&ファイアー<After The Love Has Gone>で大盛り上がり。ブライアンも「<After The Love Has Gone>がいちばん好きなフォスター・ソング」と熱唱で応えた。こうした場面で「あぁ、ココにジェイ・グレイドンがいたらナァ…」と思ってしまうのはAORファンの性ながら、今回のようなディナー・ショウ・スタイルのエンターテイメントとは相容れないのが分かっているから、コレでいいのだ! All 4 One<I Swear>を挟んでは、ブラインアン自身のヒット曲も披露され、意外にもラストはEW&F<September>。フォスターは作編曲やプロデュースには絡んでいないはずだけど、それこそピアノでも弾いてたかしらね? もっともアヴェニュー内はそんなコトお構いなしに総立ち。フォスター御大は握手攻めに遭いながら、ニコヤカにステージから去っていった。アンコール <Water Fountain>の静謐な感じが、また良かったな…。
とにかく、クラブ公演という特別なシチュエーションこそが貴重だった今回の来日。大ホールで同じことを演ったら、きっと間延びは免れないだろう。それこそ3〜4日目のショウでは、「来年はジェイ・グレイドンとエアプレイで…」と言い放ったらしいが、ここ数年の来日騒動を裏から見ていると、実現のハードルの高さもよ〜く分かる。でもホントに決まったら、こりゃー大事件だ

1. Carol Of The Bells
2. Power of Love
3. Through The Fire
4. St. Elmo's Fire
5. Chicago Medley
6. Teen Town
7. I Have Nothing
8. I Will Always Love You
9. Mornin
10. After The Love Has Gone
11. I Swear
12. One Last Cry
13. Back At One
14. September
-- Encour --
15. Water Fountain


左:2012年 東京国際フォーラム内で行われたコンベンション
カナザワが巻末に寄稿した自伝『THE HITMAN』にサインをもらう図
右:2013年 東京国際フォーラムのバックステージで
自分は偶然にも同じシャツ(苦笑
おがげさまで4日目1st行ってきましたm(_ _)m
過去情報は私も怪しいところがあるので当時のデータを再確認してみましたが
RIRIについて...
「シンガーの1人は、2011年にフォスター主催のコンペティションでファイナリストに勝ち残り、2度目のフォスター&フレンズ(2012年)来日の際に東京国際フォーラムのステージに上がったRIRI(今年メジャー・デビュー/当時11歳)」
とありますが
正確には
コンペもステージに上がったのも2度目のフォスター&フレンズの2011年です。
(東京国際フォーラムは2010,2011,2012)
よろしくお願いします。