backman johanson

長期更新ストップで紹介したいタマが溜まりまくってますが、まずは直近のリリースを優先的に。今回ご紹介するのは、拙監修【Light Mellow Searches】から先週発売された、北欧スウェーデンからのニュー・カマー、バックマン=ヨハンソン&ジ・アザーズの『AT LAST』。新人といっても若手ではなく、共に70〜80年代から地道に活動していたベテラン同士。知り合ったのがつい最近で、演奏のネット動画を見てコンタクトを取り合い、意気投合して一緒にアルバムを作り始めたという。

でもコレがなかなか良くて、快作と言える完成度。既に昨年からデジタル配信やサブスクリプションで聴くことができるようになっていたが、それだけではもったいないと、日本では真っ先にフィジカルで出すことになった。分かりやすく表現すると、日本的なAOR感とメロディック・ロックを融合した感覚で、TOTO/エアプレイを思わせるエッジーなAORから、爽快なウエストコースト・サウンド、少しジャジーなスティーリー・ダン・スタイル、女性ヴォーカルをフィーチャーしたポップ・テイストな楽曲まで、北欧AORの魅力を満載したような作品といえる。

看板メンバーはカジ・バックマン(kyd)とマッツ・ヨハンソン(g)の2人。カジは70年代にアルバムを出していたジャズ・ロック・バンド:Stetson Cody Group出身で、当時はベースを弾いていた。その時のギターは、後年キー・マルセロの後任としてヨーロッパ(<Final Count Down>の…)に加入するキー・マルセロだったそう。一方マッツはヨーテボリでギター・ショップを営んでいたが、今はスウェーデンとノルウェーを行き来しながら、フルタイムのセッション・ミュージシャンとして活動している。ポール・ヤングやエイジア、トリーネ・レインらとの共演歴もあるそうだ。

共に70年代はレッド・ツェッペリンやジェネシス、イエスなどの王道ロックを聴いていたらしいが、揃ってTOTO 1st に衝撃を受け、道を踏み誤った それ以外のフェイヴァリットも、デヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドン(エアプレイ)、スティーリー・ダン、ペイジス〜Mr.ミスター、マクサス(マイケル・ランドウ)、それにオーレ・ブールドと、ほぼ同じ。そこでまずは互いに楽曲を送り合って一緒に曲作りを行ない、満足できるマテリアルができてきた後で、アルバム制作を考え始めた。両人とも歌わないので、シンガーは楽曲ごとにゲストを迎え。その多くは日本ではまだ無名だが、中には元タイム・ギャラリーのPatrik Ahlm、北欧AORシーンの重鎮Frank AdahlやGoran Edman(ヨラン・エドマン)などが歌う楽曲もある。また少し前に初リーダー作をリリースしたトミ・マルム、オーレ・ブールドのバンドのベース奏者で、ウィリアムス=フリーステッドでの来日公演にも同行したLars-Erik Dahle も参加している。

「ウエストコースト・スタイルをベースにしつつ、アップテンポからバラード、洗練されたものまで、ヴァラエティ豊かな楽曲を収めること」がコンセプトだったというから、アルバム全体としてバランス感が絶妙。そこが、ニュー・カマーといえども実は経験豊富なツー・メン・ユニット、ならではの魅力だ。オーレに代表される北欧AORに注目している方は、どうぞお見逃しなきよう。