king-crimson-2018-flyer

いつもはAORだシティポップスだ、と言っていても、自分のルーツはビートルズと70年代ロック。特にプログレ系の大御所バンドが来日するとなれば、足を運ばずにはいられない。…というワケで、1ヶ月近くを費やして、くまなくジャパン・ツアーを展開しているキング・クリムゾンの東京7日目最終公演へ。実は11月の方でチケットを確保していたが、諸事情により(当ブログのレギュラー的お客様はご存知ですよね?)、この追加公演を買い直した。席は若干悪くなったけど、それでも1階席PAのやや後ろを確保できたのでラッキー クリムゾンは3年前のツアーも同じオーチャードホールで観戦したけれど、圧倒されて、よく分からないうちに終わってしまった感があった(2015.12.7.の Live Review) そこで今回は、前回以上に近年のライヴ盤で予習しつつ…。


予定調和が嫌いなロバート・フリップらしく、15回の公演のセットリストは、完全日替わり状態。自分が聴きたい曲がプレイされるかどうかは運次第で、東京は全部観に行く!なんて人が少なくないのも不思議ではない。でも一方で、大所帯になってからのクリムゾンは、メンバー個々の自由度が低くなって、かなり緻密な、ウェル・プロデュースドなライヴ・バンドになっている。もちろんインプロヴィゼーション・パートはふんだんに用意されているが、全体の構成の中にガッツリ組み込まれている。

それでも、かつてはアルバムごとにメンバー交代を繰り返していたバンドだけに、ほぼ不動のラインナップでライヴ中心に活動している彼らには、妙な安定感がある。今回のライヴでも、綿密に練り上げられたストラクチャーの中に僅かな隙間を見つけて、そこをメンバー同士で楽しんでいる感じ。MCなど一切ないのに、トニー・レヴィンだけが、自分のソロ・パートで「コンバンワ〜」とウケを取ったりして…

ちなみにこの東京最終日のセット・リストは以下の通り。

1. The Hell Hounds Of Krim
2. Larks' Tongues In Aspic Part
3. Epitaph
4. Neurotica
5. The ConstruKction Of Light
6. Lizard
 Bolero〜Dawn Song〜Last Skirmish〜Prince Rupert's Lament
7. Discipline
8. Indiscipline
9. Moonchild
10. Cadenzas
11. The Court Of The Crimson King

-- intermission --
12. Devil Dogs Of Tessellation Row
13. Pictures Of A City
14. Cadence And Cascade
15. Breathless
16. Fallen Angel
17. Easy Money
18. Meltdown
19. Radical Action II
20. Larks' Tongues In Aspic Part (Level Five)
21. Starless

-- Encore --
22. 21st Century Schizoid Man


トリプル・ドラムの掛け合いに導かれて唐突に始まったのは<太陽と戦慄パート2>。そして続けざまに<エピタフ>というのは、かなり感動的。<リザード>は短縮版だったけど、<ムーンチャイルド>の登場、『ポセイドンのめざめ』から<Pictures Of A City>〜<Cadence And Cascade>を選んだのが意外だった。残念だったのは、11月に演ったらしい<Fracture(突破口)>が聴けなかったこと。それとこの日は『ISLAND』から1曲も演らなかったから、比較的最初の2枚、『宮殿』と『ポセイドン』をメインにした感覚がある。特に『宮殿』から<I Talk To Wind>以外 全曲チョイスし、その代わりに<Cadence And Cascade>を入れたような印象を受けた。そういえば、<太陽と戦慄パート2>で始まって<スキッツォイド・マン>で終わる流れは、あの名ライヴ『USA』と同じだ。


前回の日本公演後、ドラム兼キーボードにジェレミー・ステイシーが新加入。それまで同じポジションを担ってきたビル・リーフリンが鍵盤専任になった。つまり、看板のトリプル・ドラムの一角が交代。クリムゾン史上、初めて専門の鍵盤奏者が誕生した。そしてそれによって打楽器担当3人の役割分担にも、多少の変化が生じたようである。以前はパット・マステロットがドラムというよりパーカッション的なアプローチで、いわばジェイミー・ミューアを髣髴させる飛び道具類を操っていたが、今回は3人が一丸となって、半ば均等にクリムゾンのリズム・アンサンブルを分け合って支える構図になった。具体的にはパートを区切って順に叩いたり、フィルを回しあったり、誰かがスネアを2拍4拍で入れると他の誰かが4拍目を喰って入れたり…。それぞれが活躍する場面は減ったものの、アンサンブルをよりタイトに構築し直した気がした。そこがステイシー加入後の進化かな。

フリップ翁を筆頭にして年齢が年齢だけに、次の来日があるかどうかは分からないけど、来ればまたきっと足を運ぶだろう