bookmarcs 2

世間はクリスマス・イヴ。もっとも我が家は毎年、せいぜいケーキを買ってくるくらいで、クリスマス・ムードなど微塵もない。が最近は、相方がゴスペルにハマっているため、お付き合いでチョッとしたゴスペルの野外イベントに顔出し。例年より少しだけ雰囲気増量のイヴになった。オープン間もない渋谷STREAMに初めて行ったけど、コンサート・ホールもあるようだし、これから時々足を運ぶコトになるのかな?

さて今回は、先日の sparkling☆cherry のライヴにも来てくれていたThe Bookmarcs の2作目をご紹介。

かつては激しくJ-R&Bブームが吹き荒れたが、今もそこに踏み止まっているのはオリジネイターのMISIAぐらい。実は現在進行形のシティ・ポップスもそんなJ-R&Bブームに似た様相で、都市生活さえ歌っていれば、音がヒップホップ寄りでもアシッド・ジャズでもEDMでも、何でもシティポップスにされてしまう。タイミングが違えば、きっとシティ・ポップとは呼ばれないだろうな、なんてニュー・カマーが大多数で、そんなのはさっさと “風と共に去”ってほしいところである。でもそういう一過性のブームに流されないアーティストなら、微力ながらも積極的に応援したい。

このThe Bookmarcs も、まさにそんなツー・メン・ユニット。個々のキャリア的には中堅と言って良く、作編曲/サウンド・プロデュースの洞澤徹はTVやラジオ、映画音楽などを広く手掛けていた。その相方で作詞/ヴォーカルの近藤健太郎は、the Sweet Onionsというポップ・グループで歌い、自主レーベルを主宰。The Bookmarcs自体の結成は11年で、配信デビューが翌12年になる。そして昨年10月に初のフル・アルバム『BOOKMARC MUSIC』をリリース。シティポップスやソフト・ロック、AOR好きの早耳リスナーたちから注目を浴びるようになった。それに次ぐ2ndアルバムが、ほぼ1年という短いインターバルで発表された、この『BOOKMARC MELODY』である。

どのアーティストにも言えるコトだけど、最初のアルバムはデビュー前に作り溜めていた楽曲を詰め込むため、1作目にして名刺代わりのベスト・アルバムになる。でもそこで歌い慣れたオリジナルを吐き出した後の2作目こそが、実はそのアーティストの真の実力を推し量るバロメーターになるのだ。それだけに新人にしては異例の短さで10曲の書き下ろしを昇華させ、しかも前作以上のクオリティを打ち出してきたThe Bookmarcs には、素直に脱帽。AOR好きであれば、何処かで聴き覚えのあるようなメロディ、フレーズがアチコチに鏤められていて、その空耳加減に思わずニヤリとさせられる。

リズム隊は生演奏が6〜7割で、あとは打ち込み。ホーン・セクションを配したトラックもある。それでも若干プログラム・テイストが強いのは、ミックスのせいなのかな? ギターやピアノ系のリズムがサラリとしていて、あまり前に出てこない。でもそれは彼らの狙いらしく、音のエッジをていねいに削ぎ落としてまろやかに加工してある。最も80's AORした<Baby, Back To You>のシンセは、その頃のポリフォニック・シンセのプリセット音を敢えて使っているみたい。その雰囲気は、まるでクレイグ・ランクのようだ。

他にもオープニングから軽快に飛び出す<胸騒ぎのシーズン>、ドリーミーな<雲の柱>、フルートが舞い立つ<If You Leave Me Now>、すべて英語で歌われる甘酸っぱい<I Don't Wanna Know>など、胸にシュンと入ってくる楽曲のオン・パレード。ちょうどブルー・ペパーズを少しオトナにしたような、そんなテイストが気に入っている。