wings wildlife boxwings_wildlife org

12月に発売されたポール・マッカートニー&ウィングスの2組のボックス・セット、『WINGS WILD LIFE』と『RED ROSE SPEEDWAY』を同時ゲット。昨日アップしたTOTOの31枚組『ALL IN』BOXと合わせると、この3アイテムだけで10万円超になる。ビートルズ関連では、ホワイト・アルバムとジョン・レノン『IMAGINE』の豪華箱も出たばかりだから、これだけでかなりイタい出費。ポールの来日もあったし、リンゴ・スターのオールスターズもまた来るし、これではエルダー・リスナーが若手アーティストから遠のくのも当然だ。聴かないんじゃなく、手が届かない。でもそこは便利な世の中、ストリーミング・サーヴィスがある。自分はフィジカル支持だけど、どうあがいたって財源は限られるから、ネット・サーヴィスは試聴機的に有効利用している。その上で “カネを出す価値アリ” と思えば、その時点で即購入。…と言っても、この手の限定ボックスは、すぐにブツとして欲しくなってしまうけど

で、このウィングス箱。以前から機会あるごとに書いているが、カナザワは初期ポールとウイングスが大好き。『BAND ON THE RUN』は世紀の名盤だと思うし、『VENUS & MARS』はウイングス最良の時期を捉えた好作だと思っている。対してウイングスとしての第1作『WILD LIFE』は、今まで極めて評価が低かった。短期間で作ったラフな作品、ガレージで録ったような音、云々…。確かに大部分は当たっている。でもそれこそは、ビートルズ幻想から飛び立とうとするポールの狙い。このアルバム、実は以前からカナザワのお気に入りだったのだ(4年前にも書いている)

もちろん『BAND ON THE RUN』や『VENUS & MARS』には比べるべくもない。『RAM』だって何気に完成度が高いし…。でも超シンプルに、骨格剥き出しの『WILD LIFE』には、ネイキッドなままの隠れた名曲が、原石の如く無造作に詰め込まれている。もしこれを丹念に、時間を掛けてブラッシュアップしていったら、きっと『BAND ON THE RUN』に匹敵する名盤になったはず?、なんて妄想してしまうほど。

特に愛聴していたのは、まるでシンガー・ソングライターのデモ・テープを聴いているような後半、つまりアナログB面。<Some People Never Know>、リンダが歌う<I Am Your Singer>、<Tomorrow>と、どれも小品だけれど、ちょっぴり洒脱なコード進行が伺えて、何処かAORのルーツ的なニュアンスを感じていた。かつてアップルに所属したジェイムス・テイラーもこの時期、弾き語り+α を目指して音楽性の幅を広げつつあったから、きっとその辺りとリンクしていたのだろう。それはカリプソを取り入れた前半の<Love Is Strange>にも顕著。レコードコレクターズ誌のウイングス特集でサエキけんぞう氏が指摘されていたが、確かに頭の3曲<Mumbo>、<Bip Bop>、そして<Love Is Strange>は、アフリカン・フレイヴァーをシンプルなリフの繰り返しで遊びながらミニマムに表現したものだと思う。

そしてタイトル曲<Wild Life>。当時から、“自然愛好の歌詞がイイ ”とか尤もらしい御託が添えられてきたけど、コレはもう、ただひたすらにポールのヴォーカルの凄さを堪能してほしい。ビートルズ時代の<Oh Darling>、『RAM』の<Monkberry Moon Delight>に連なる、絶唱系譜の名曲だと思うから。とことんシンプルなアレンジも、淡々と繰り返す印象的なリンダの美声コーラスも、それを最も効果的に響かせるためなのだろう。一般的に『WILD LIFE』というと、ジョンに書かれた<Dear Friend>を代表曲とする傾向が強かったが、自分はもう圧倒的にタイトル曲なのだ。

このデラックス・エディションは、オリジナル・アルバムの最新リマスターdisc 1、収録曲のラフ・ミックス版をまとめたdisc 2、宅録デモやアウトテイクから成るdisc 3、そしてDVDの映像集という4枚組。オリジナル単独や2CDヴァージョンも同発されているので、これを機に『WILD LIFE』再評価機運が高まれば、と願う。

あと個人的には、ユニバーサル・ジャパンのオンライン・ショップだけで限定発売されていた『WINGS WILD LIFE』と『RED ROSE SPEEDWAY』の抱き合わせセット『WINGS 1971-1973 スーパー・デラックス・エディション』だけの特典ライヴ盤『WINGS OVER EUROPE』が聴きたいところ。意を決して注文しに行ったら、早々に売り切れていたのよ 腹イセにいつも使っているネットショップへ行き、溜めに溜めていたポイントでハコのひとつを無料ゲットしてやったワ…(我ながら度量が小さい、トホホ) でもきっとポールのことだから、遠くない将来、『WINGS OVER EUROPE』を単発で出してくれると期待している。