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年明け早々なのに、もう訃報。70年代に多くのヒット・チューンを産み落とした夫婦のポップ・デュオ:キャプテン&テニールの “キャプテン” ことダリル・ドラゴンが、1月2日、入院していたアリゾナ州プレスコットのホスピスで亡くなった。死因は腎不全。相方のトニ・テニールとは13年に離婚したが、その後も良い関係を続けていて、ダリルが体調を崩してからは、彼女が身の回りの世話のためアリゾナへ引っ越し、旅立ちの瞬間もトニが看取ったそうだ。享年76歳。

カリフォルニア生まれのダリル・ドラゴンは、67年頃から kyd / arrange でビーチ・ボーイズをサポート。71年に、とあるミュージカルにピンチヒッターで参加してピアノを弾き、そこでシンガーのトニと運命的出会いを果たした。彼女はそのままビーチ・ボーイズのツアーに参加し、71年からデュオ活動をスタート。73年に自主制作したシングルがローカル・ヒットし、翌年A&Mと契約を結んでいる。そしてメジャー2枚目のシングルとして、ニール・セダカの楽曲<Love Will Keep Us Together(愛ある限り)>をカヴァー。鍵盤リフが特徴的なアレンジを施したところ、これが全米No.1と大ヒットし、グラミー最優秀レコード賞も獲得した。

その後も<The Way I Want to Touch You(君こそすべて)>や<Lonely Night(天使の横顔)>、<Shop Around>、<Muskrat Love>など、トップ10ヒットを連発。79年には<Do That To Me One More Time(愛の証し)>で再び全米首位に返り咲くが、レーベル移籍の失敗など不運が重なり、80年以後はマトモな活動ができなかった。

…とはいえ、A&Mからの健全デュオというプロフィールから、カーペンターズの二番煎じ的な軽い扱いをされるコトが日常茶飯事で…。実際は2人はとも曲が書けるし、ダリルはドラム以外は何でも自分で演奏できるマルチ・プレイヤー。<Love Will Keep Us Together>の大ヒット中にリリースされた定番曲満載のこの2作目『SONG OF JOY』(76年)も、トニ(ピアノも弾く)とドラムのハル・ブレインと3人でレコーディングしてしまった楽曲がいくつかある。そもそも<Love Will Keep Us Together>だって、よく聴けば緻密なキーボード・オーケストレーションで成り立っているコトが分かるはず。そしてそのリフを元ネタにして、マイケル・マクドナルドがかの<What A Fool Believes>の必殺パターンを作った、とも言われている。そういえば、82年に豪Wizzardからリリースした『MORE THAN DANCING』では、ボビー・コールドウェル(曲もボビーの<Come To Me>)やリチャード・ペイジとデュエット。キャプテン&テニールとしては、コレが一番、直球AORしていたなぁ〜

本作収録曲<Muskrat Love>も、元々はアメリカのヒット(作者はシェルター・レーベルのシンガー・ソングライター:ウィリス・アラン・ラムゼイ)を独自にアレンジしたもの。でもそのシットリしたアレンジで、誰よりも楽曲の魅力を上手く引き出していた。その影響力はカーペンターズには及ばずとも、単なるポップ・デュオのようで実は隠れたファンが多い、通好みのコンビ。ダリルはもっとシッカリと評価されるべき才人だったと思う。

ちなみに彼がキャプテンと呼ばれたのは、ビーチ・ボーイズのサポート時代に、いつもヨット帽を冠ってステージに上がっていたから。それをマイク・ラヴが茶化して、“キャプテン・キーボード” と紹介したのがキッカケだったそうだ。

Rest in Peace...