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レコードコレクターズ最新号のYMO特集を眺めていて、まだコレを聴いてなかったことを思い出し、早速スピン。高橋ユキヒロが78年にリリースしたソロ名義の1st『SARAVAH !』のリテイク版。オケはそのまま残してリミックスに留め、ヴォーカルだけを録り直した変則的新装盤だ。かつて小坂忠さんが名盤『HORO』をリテイクして『HORO 2010』を出したけど、それと同じパターン。ユキヒロ氏はその少し前まで忠さんをサポートしていたから、何か触発されるモノがあって、タイミングを窺っていたのかな?

元々『SARAVAH!』というアルバムは、坂本龍一をコ・プロデュース/アレンジャーに迎えて作った、プレYMO的性格のモノだった。でも当時はまだコンピュータなどなく、ドンカマ頼りに、ひたすら手弾きでダビングしていた時代。逆にそれがドラムをジャストに叩く気持ち良さに開眼させ、ドラマー:ユキヒロを覚醒させていった。

と同時に、加藤和彦や大貫妙子、ラジらが取り組むヨーロピアン・ポップスの先駆け的作品でも。レコーディングが東京なのに、ジャケットだけはパリで撮るなど、そこには大仕掛な本気の遊びがあった。収録曲にも、今なら誰でも知っている<Volare>とか<C'est Si Bon>があったし、デューク・エリントン<Mood Indigo>をサヴァンナ・バンド風にやったのも相当早い。そもそもサディスティックスのドラマーだった彼が、こうした脱力系のオシャレ・ヴォーカル作品を作ったこと自体が飛んでたワケで…。考えてみれば、テクノ・ポップなんて言葉がなかったこの時代にデビューしたYMOは、当初、クロスオーヴァーの新種と言われていたんだった。

参加メンバーも超豪華だが、今の人脈で見ると、かなり雑多に見える。細野を含むYMO全員に、トノバン、高中正義を含むミカ・バンド〜サディスティックス勢、ティン・パン・ファミリーからは細野に加えて鈴木茂、林立夫も。松木恒秀や和田アキラが持ち味全開のギター・ソロを披露すれば、山下達郎&吉田美奈子が攻撃的ファンク・チューンで熱くハモる。極論すれば、感性の赴くままに何でもあり。でも教授との邂逅、細野からのコンセプト注入があって、ここから次第にYMO方向へと引っ張られていったのだろう。

それにしても、フレッシュなリミックス音に加え、40年前のサウンドに無理なくフィットするユキヒロ氏の歌声ったら。オリジナルの細野さんっぽかったヴォーカル・スタイルが、しっかりユキヒロ節に擦り替わっている。今となってはコレこそがオリジナルみたいに聴こえるほどで、78年版はプレYMOならぬプレ・ユキヒロだったのかな?なんて。

お時間とお金に余裕がある方は、是非、聴き比べて楽しんでください。