peter sundell

昨日、竹内まりやをポストしたら、それだけでアクセス倍増。ページビューはその更に倍!って感じで、まぁ、人気の音楽ブログを作るのはたやすいな。でも一般リスナーさんでも書けるネタを自分が書いても意味ないワケで、ココはやっぱり他の人がやらないコト、カナザワでないと書けないコトを書いていく。そして今日はピーター・スンデル。誰それ?、という方がほとんどだと思うが、かくいうカナザワもアーティスト名を聞いただけでは、何処の誰だか分からなかった。

このシンガーは、北欧メロディック・ロックの人気バンド:グランド・イリュージョンのリード・シンガー。早くから TOTOやサヴァイヴァー、シカゴなどが好きと公言し、他の北欧メロディック・ハード系シンガーとは一線を画した、洗練かつ甘美な路線を追求してきたらしい。ま、カナザワ個人としては、メロディック・ハードと聞いた時点で、ほとんど興味の対象外になってしまうけれど、一方で70〜80'sの産業ロックの素晴らしさは大いに認めているので、このアルバムには食指が動いた。これはピーター・スンデルが、主に70〜80'sの産業ロック系人気曲にトライしたカヴァー・アルバムなのだ。

カナザワが産業ロックを紹介する時によく書くのが、ジャンル的にはほとんど同義語にも捉えられるメロディック・ロックと産業ロックの違いについて。細かな音楽ジャンルのカテゴライズには否定的なので、ちょっと矛盾していると思われるだろうが、この両者、自分の中では確固たる差がある。つまり…

産業ロックには全米、延いては世界中で売れるバンドが多いのに、メロディック・ロックはEU圏内と日本で人気があるぐらいで、USではほぼ全滅。アメリカという国はあまりに巨大で、気候も風土も環境も大きく異なるエリアを包括しているから、全米でヒットするにはそれを乗り越えてチャートに上がってくる強い楽曲、万人受けするメロディを持っていなければならない。長く活動するアーティストは、自分たちの個性を保ちつつ、それだけ普遍的なスタイルを作り上げなければ通用しない。

対してヨーロッパは、たくさんの国々があるのに一様に歴史的重みを感じさせ、政治体制が違っても気候や風土は似通っている。地盤となるべきエリアも狭く、その分 個性が守られて突出しやすい。人口で言えば、フランスはカリフォルニア州+テキサス州の2州より人口が少ないのだ。極論すれば、フランスではNo.1バンドでも、米国ではローカル・スター止まりなのである。

音楽的に言えば、大雑把ながら、メロディック・ロックは産業ロックのスタイルを欧州的クラシカル・センスで濾過したもの、と言えるか。日本で特定ファンを得ているのは、緻密な様式美とマイナー調のメロディ・センスに共通するモノがあるから。でもその手の音は、例えば広大なロッキー山脈の麓の一本道を土埃を上げて疾走するコンボイには不似合いだ。アメリカで売れるということは、ニューヨークやL.A.の都会でも、雪に閉ざされる北部エリアでも、荒野が広がる中西部でもラジオ・フレンドリーでいられる、ということ。かつて当ブログで「学校の5段階評価で言えば、オール4以上を取れるのが産業ロック」という旨を書いたが、それを敢えて狙って取れるのが、売れていた産業ロック勢の凄さである。だから、 “産業” という言葉が含むネガティヴ要素を逆手にとって、「産業結構! 作れるモノなら作ってみな!」というのがカナザワのスタンス。そうなれば、昨今のメロディック・ロック・バンドは総崩れだろう。美学はあってもマニア受け止まりで、世界のヒット・チャートには通用しない。

そういったことを力説した上で、このメロディック・ロック・シンガーによる産業ロック・カヴァー・アルバムを見てみると、その選曲のマニアックさに、思わずほくそ笑んでしまう でも個人的には、エアプレイの中で一番ロック寄りゆえに遠ざけてしまう<Stranded>が冒頭を飾っていて、しかもトミー・ファンダーバークを超越するハイトーンで、ウルサイことこの上ない デヴィッド・ロバーツのチョイスはサイコーに嬉しいけど、アレンジはやっぱりメロディック・ロック風。意外なビリー・ジョエルのピックアップも『GLASS HOUSE』収録曲と知れば、まぁ、理解できる。全般的にオリジナルを越すカヴァーは皆無なれど、産業ロック世代ならば、良しにつけ悪しきにつけ、いろいろ思いを巡らせてしまう楽しさを孕んだ作品なのだな。

そんな中で、The L.A.Cowboysって何者?という人も多いだろう。結構マニアなAORファンしか知らないであろうこのグループは、飯島真理の当時の夫ジェイムス・スチューダー(kyd)が、当時リトル・リヴァー・バンドにいたウェイン・ネルソン(b)と組んだプロジェクト。日本に縁が深かった彼は、日本のヒット曲を英語で歌う逆カヴァー企画を立ち上げ、そこにオリジナルを加えて、アルバム『ENDLESS SUMMER』を日本発売した(93年)。その後2010年に独AOR HEAVENがコレを再発し、欧州AORファンにもその存在が広まることに。そのアルバム・タイトル曲がコレで、原曲はナ ンと1986オメガトライブの<君は1000%>である。日本人と欧州人のメロディ・センスの共通点をピンポイントで突いてくるセレクションで、これにはヤラレた。

1. Stranded (Airplay)
2. Now(Trevor Rabin)
3. Don't Want To Wait Anymore (The Tubes)
4. The Look In Your Eye(Glen Hughes - Pat Thrall)
5. Only Time Will Tell(Asia)
6. Someone Like You(David Roberts)
7. All For Leyna(Bill Joel)
8. Dust In The Wind(Kansas)
9. Poor Man's Son(Survivor)
10. Endless Summer(The L.A.Cowboys)
11. Different Worlds(Vandenberg)